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「TOKYO TRIBE/トーキョー・トライブ 」
2014年公開のアクションラップミュージカル映画である。原作は同名マンガであるが、ストーリーラインは続編の2のものである。物語は近い未来のトーキョー。トライブと呼ばれる「族」が各トーキョーの区を支配し、荒廃した街では暴力、薬物、セックスが蔓延し、常に族間の抗争の火種はくすぶっていた。そんな時、池袋を縄張りにするトライブのメラが、武蔵野を縄張りとするトライブの海を罠にかけ、その生命を狙う。とこを同じくしてある少女がトーキョーの売春街につれてこられる。その少女とメラ、海の三人を中心にトーキョーを舞台にした大きな抗争が始まる。物語を文章で書いていると、若者の熱気に溢れた映画に思える。確かに凄まじい熱気は感じられた。が、セリフのほとんどがラップで進行し、正直言ってまったくストーリーが入ってこなかった。本作の監督は園子温であり、正直、肌の合わない監督なので観るのをためらっていた。だがマッチョな鈴木亮平と清野菜名みたさで観た。あまり俳優で映画を観ないので、個人的には珍しいことではあるが、ここまでムキムキの鈴木亮平に迫力。そしてあまりにも際どいパンツでの会議シーン。あれは笑えた。そして清野菜名。最近、好きな女優であるがアクションもできるし脱げる。朝ドラで知ってからファンになったが、この映画でのアクションを見る限り、この女優さんの能力の高さは本当に限度がないように思えた。
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「マッチポイント」
注意:ネタバレ、長文2005年、ウディ・アレン監督が初めてイギリスを舞台にした映画である。アイルランド出身のプロテニスプレイヤーのクリスは、キャリアの行き詰まりから、イギリスのテニスクラブでコーチを始める。そこで知り合った上流階級のトムと知り合い、トムの妹と男女の仲になっていく。しかしトムの彼女ノラとも惹かれ合い、ついにはトムの妹と結婚しながらも、トムと別れたノラと付き合う関係を続けていた。やがてノラは子供ができたと言い、クリスは妻と分かれるとノラに言い続けるが、上流階級の生活を捨てられず、ある行為に出るのだった。ウディ・アレン初体験であります。内容としては、よくある不倫劇なのですが、最後がこの映画の肝であり、罪と罰を意識した作りというだけあって、確かに最後は罰を感じさせる終わり方をしている。本作にはまだアベンジャーズに出演する前のスカーレット・ヨハンソンが出演しており、色気が凄い。
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「エベレスト」
注意:ネタバレ、長文
2015年公開のヒューマン映画である。実際に起こった1996年のエベレスト史上類を見ない遭難事故を題材にしている。 日本の難波康子さんも、世界で7人目の七大陸最高峰登頂を成し遂げるも、直後にこの事故で亡くなっている。 民間登山会社のロブは、登山家からお金を募ってパーティを組み、登頂する商業登頂を行うコーディネーターだった。この年もロブは複数の人物から資金を集め、登頂へ挑もうと高原で体をならしながら準備をしていた。ところがエベレスト登頂の際に複数のパーティが1つのロープに集まってしまい、混雑するという事態が起こった。少しのミスが命の境目となるエベレストでこれは大きな問題となり、ロブは同業者のスコットのパーティと一緒に登山を開始することを話し合う。 こうして登山は開始された。途中で脱落者もなじながらなんとか登頂に成功する面々だったのだが、エベレストに嵐がやってくる。さらに酸素ボンベの残量不足という最悪の事態となり、次々とパーティの面々は倒れていくのだった。 2016年にもエベレストでは雪崩で複数人の犠牲者を出しており、それまではこの事故がエベレスト史上最大の遭難事故とされていた。 様々な批判があることもあるが、人はなぜ山に登るのか。毎年、多くの人物がエベレストへ挑む。そして複数の命が失われている。 エベレストではゴミも人の遺体も回収することはできない。あまりの高度で遺体回収もゴミの回収も不可能だというのだ。 自然というものの前で、人はあまりにも無力だ。それでも人はエベレストに登り続ける。 山は登って降りるまでが登山。愛する者のところへ帰る。それができてこそ本当の登山ではないかと私は個人的には思うのだが、この映画を観ていると、その先に、命をかけてまで登らなければならない何かがあるような気がしてならないのだ。 3Dで上映され、映像ばかりが話題となった本作だが、多くの俳優が出演している。そのことからも、この事故は絶対に風化させてはならないという想いが詰まった映画である。
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「ムーンライト」
注意:ネタバレ、長文2016年公開のアメリカ映画である。当年のアカデミー賞において8部門にノミネートされ、作品賞を含む3部門で受賞している。人はなぜ生きるのか。生きている意味はあるのか。自分とは何者で、なぜ自分はこうなってしまったのか。黒人少年はいじめられていた。オカマとバカにされ、追いかけ回され、悲痛な毎日を送っていた。それを救ってくれたのは、薬物の売人をしている男だった。母親が薬物に溺れ、男をとっかえひっかえする中で、信じられる大人は彼だけしか居なかったのだ。しかし母親が薬物におぼれているのは、実はその男が売っている薬物だったのだ。やがて少年は思春期を迎え、それでもいじめられる日々は続いていた。しかし唯一の友達だけは彼をいじめずに、月明かりの中、2人はキスをする。だが翌日、いじめの中心的青年が主人公を殴るように友達に命令する。友達は自分を守る意味を込めて主人公を殴る。これに怒りを爆発させた主人公はいじめの主犯格を椅子で滅多打ちにして逮捕されるのだった。やがて青年から大人になり、主人公は母を蝕んでいた薬物を売りさばく売人になっていた。そしてあの唯一の友達だった男から電話がかかってくるのであった。個人的に最近、性別というもの、男や女というものを考える機会が多く、同性愛という言葉が当たり前になりつつ今、性別というものが曖昧になってきている。だからこそこの映画に意味があるような気がする。自分が何者なのか。自分はただ本当の自分でありたいと願うのに、周りは許してくれない。そして薬物の連鎖。自分を救ってくれた男は売人だった。しかも母に薬物を売っていた。それでも恩人である彼。やがて自分もそうなっていく。きっと現実でも同じように循環していくのであろう。
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「キューブ」Cube
注意:ネタバレ、長文
1997年公開のカナダ映画である。ヴィンチェンゾ・ナタリ監督初長編映画であり、自身の短編映画をモデルにした、脱出サスペンス映画だ。
ある瞬間から記憶のない6人の男女。警察官、女医、学生、脱走を繰り返す犯罪者、精神障害者、会社員。目覚めるとそれぞれキューブ状の部屋に閉じ込められており、上下左右にハッチのような入り口がある。その隣の部屋はまたキューブとなっており、それが続いていた。部屋によっては罠がしかけられていて、入った者を一瞬にして殺害するものばかりだった。
6人は協力して罠のない部屋を探し出そうと、脱走のスペシャリストである犯罪者の老人が靴を投げて安全を確かめた部屋を移動するのだった。が、老人は顔に硫酸を浴びで死亡してしまう。
すると女学生があることに気づく。部屋の間の狭い通路には番号が刻まれており、数学的法則で罠が仕掛けられているのではないかと予測し、その数字通りに進むのだった。
だが、ある瞬間からその法則は間違っていることに気づき、次第に疲労困憊してきた面々は、自分の内面にある負の部分をあらわにしていく。
はなしてこのキューブの建物はなんなのか、脱出はできるのか?監督はドラマ・ウェスタワールドなどの制作に携わる鬼才であり、このキューブも低予算で映画を作ることになったので、1つのセットで役者を動かす物語を考え、本作が誕生した。
本当にすべてが謎で始まり謎で終わる本作は、密室から出ることなく、物語は進み、人間たちが本来もっている、他人には隠している部分をむき出しにしていく。
前から気になっていた映画であったが、低予算であることから観ることをためらっていたが、この映画は見事なアイディアである。
まさしくアイディア勝ちの映画だ。
残念ながら創案者の監督は本作の続編には関わっていないが、人気作となり、2,3と続編が制作されているので、それを観たいと思う。
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「みなさん、さようなら」
注意:ネタバレ、長文濱田岳主演、2013年公開のヒューマンドラマ、コメディ映画である。物語は通る団地。突然、中学に行かないと宣言した悟は、団地の中で生きることを断言し、日中は筋トレ、読書、夜は団地の見回りをすることを日課にしていた。そんな中でも友達は彼に優しく、特に隣に住む同級生はベランダで悩みを聞いてくれる存在だった。そして中学を卒業し、皆が進学すると、団地を離れる人たちが増えていく。悟は16歳になったら、行きつけのケーキ屋に就職すると決めていたが、あっさり断られ、それでも団地の中で仕事を探す。結果、なんとかケーキ屋に就職し、働き始める。隣の同級生とは性的なことをする関係ながら、男女の関係には進展しなかった。そのうちに成人を迎え、同級会で久しぶりにあった初恋の女の子と、付き合い、婚約までするも、団地から出られない彼に、次第に心が離れていく。やがて悟が出れなくなった原因が判明していく。個人的には引きこもりけど経験のある私としては、ここまでうまくいく引きこもりも珍しいと思った。ここまで順調にはならないだろうと思いながらも、身近に感じながら見ていて、結果的に主人公の結末荷には、きっと引きこもりが直面するであろう現実を見た気がした。
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「ジョン・ウィック チャプター2」
注意:ネラバレ、長文キアヌ・リーブス主演で斬新な銃撃戦で話題となったアクション映画の直接的な続編である。前作で伝説の殺し屋ジョン・ウィックは、引退して妻と幸せにくらしていた。しかし妻は病気で死んでしまい、妻が最後に残した子犬と生活をしていたのだが、前の依頼主の息子がジョン・ウィックの車を盗み子犬を殺してしまう。この復讐を果たしたジョン・ウィックは、別の犬と暮らしながら、盗まれた車を取り返したのだった。一段落したのもつかの間、引退する直前に行った以来を執行するべく手を組んだ組織の跡目争いから、弟が姉を殺害してくれと頼んでくる。血の誓いによって依頼は断れないのだが、ジョンは断ってしまう。すると弟はジョンの家を爆破する。これで彼は弟の命を狙うが、その前に血の誓いを果たさなければならず、殺し屋の支援組織のサービスを受けて、姉を殺害する。そして家を爆破された復讐のため、弟を殺そうとするが、弟は700万ドルの賞金をジョンにかけ、ニューヨーク中の殺し屋が彼を狙うのだった。チャプター2とはよく言ったものである。前作のエンディングをカットして本作とつなげても、なんの違和感のない、本当につながっている感覚の映画である。そしてアクションがみたい。そう思うならばこの映画はピッタリだ。物語はシンプルで最初から最後までアクション。ジョン・ウィックにハンドガンをもたせたら、無双である。本人もボロボロになりながら、次々と殺して行く。その進む姿は、殺し屋というより戦士のようだ。だが単体でこの映画は完結しないのが残念である。次につなげる形で物語は終わるので、三作目を観なければならない。
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「シャークボーイ&マグマガール」
2005年公開の子供映画である。
監督は「アリータ」「マチェーテ」のロバート・ロドリゲスであり、当時5歳の息子との会話からヒントを得て制作した映画である。物語は夢ばかりみて、夢をノートに書き、それを学校のクラスで発表するマックスは、友達からバカにされていた。そんなある日、夢日記をいじめっ子に奪われ、学校に行きたくないから、竜巻が起こればいいのに、と夜言葉にして眠った。
翌日、学校に居ると本当に竜巻が起こり、そこへ夢日記に出てきたシャークボーイとマグマガールがマックスを迎えにきた。彼が創造した夢の世界が何者かに破壊されている、と聞かされマックスは自分の夢の世界へと向かう。スパイキッズでも同じようなストーリーラインで作っていたが、まさしくそのテンプレートに当てはめた映画である。
夢ということもあってか、CGは非常に古い感じになっている。しかし子供と一緒に観るには、素晴らしい作品だと思う。
夢を見ることは無駄なことだ、諦める。それが大人になることだと世間では言われている。
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「アクアマン」Aquaman注意:ネタバレ、長文2018年に公開されたDCコミックスを原作とする一連のDCエクステンデッドユニバースに属するヒーロー映画である。物語はジャスティスリーグの騒動から少しあと、海で人を救うことをしていたアーサーは、海底に沈んで7つの国に別れてしまったアトランティス王国の王になってほしいと、メラという王族の女性に頼まれる。だが人間の父を置き去りにし、自分のせいで海に戻され、化物の餌にされた母のことを考えると、自分は海に戻るべきではないと思っていた。そんな折、海の中での会合を人間の潜水艦が襲撃する。その報復として津波を引き起こしアトランティス。そのリーダーとなろうとしていたのは、父親が違うアーサーの弟であった。このままでは陸と海が戦争を始める。アーサーはそれを止めるべく、伝説の王の三叉の矛を探しに、メラとたびに出るのだった。しかしその先には、父親を殺されアーサーを恨む海賊、ブラックマンタが待ち受けていた。ようやく見れたこのアクアマン。ジャスティスリーグの成績不振により、シリーズも終わりという危機的状況の中、シリーズで最大のヒット作となったことで、DC映画の命を繋いだ救世主。これまでのDC映画の中でも最大のヒットとなった。その要因は何かと思い観たところ、まずその脚本力に驚いた。目的は王の矛を手に入れて、戦争を止めることなのだが、そこに最大のライバルである弟とブラックマンタをうまく絡めている。これからの関係性もしっかりと伏線を張りながら、映画の中で完結させているところが素晴らしかった。そしてなんといってもこの映画の凄さは映像だろう。監督のジェームズ・ワンは、海の中のスターウォーズにしたかった、という、だけのことはありスターウォーズのような壮大さがあるスケールの大きな映像と、陸と海を本当に1つの画面内で繋げている、陸と海が1つの世界になっているのがすごいとおもった。これまでの映画では見たことのない映像なのは間違いない。これがなぜアカデミー賞の視覚効果賞に選ばれなかったのか不思議である。それだけ、映像はヒーロー映画の中で飛び抜けてすごい。これまでザック・スナイダー監督こそがヒーロー映画で最高の映像を作れる監督だと思っていた。しかしジェームズ・ワン監督は、ヒーロー映画どころか映画の歴史に残る映像を作ったと思えた映画だった。アクアマン。すべての海の生物を従え、4億人のアトランティス人の軍隊を動かす、海の王。この映画のあとならば、ジャスティスリーグももっと広げられたのではないかと個人的には思えた。
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「ランペイジ」注意:ネタバレ、長文2018年公開のドウェイン・ジョンソン主演のパニックアクション映画である。原作は同盟のアーケードゲームである。物語は動物保護施設でゴリラとコミニケーションを取れるデヴィスは、動物とのコミュニケーションはうまいが、人間との関わりを極端に嫌がる男であった。彼は保護した色素異常の白いゴリラ・ジョージと深い絆で結ばれていたのだがある日、宇宙から落下した謎の物体から放出されたガスを吸い込むと、ジョージは巨大化、治癒能力の異常発達、攻撃性増幅という変貌を遂げてしまう。これはある企業が密かに宇宙でのゲノム研究の成果で、あらゆる動物の遺伝子を混ぜ合わせた、ゲノム遺伝子を製造に成功し、それをジョージを含め、狼、クロコダイルが吸い込んでしまう。これら巨大化生物は企業が音波で集め、その遺伝子を採取しようとする思惑から都市に集結し、大暴れをする。デイヴィスはこれを止めるべく、元ゲノム研究者であり、企業の違法研究を追求しすぎてクビになったケイトと共に、ジョージを救うべく、三匹が大暴れする街へ向かうのだった。個人的だが順番を間違えた。ゴジラキングオブモンスターズを観てからこちらを観たので、すごく地味な映画に見えてしまった。普通の映画としては派手だし、考えることはなにもない。ただ楽しんでみていればいい映画だ。巨大生物とドゥエイン・ジョンソンの筋肉バトル。それだけを観ていればいい。
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「ゴジラ キングオブモンスターズ」Godzilla: King of the Monsters注意:ネタバレ、長文2014年制作のハリウッド版ゴジラの直接的な続編であり、キングコングを含めたモンスターユニバースの第3弾になる映画である。物語は前作でゴジラが太古の昔より生存していた巨大生物であり、アメリカの核実験のほぼそべてはこのゴジラを殲滅するために行われてきたとされていた。そのゴジラが同じく太古の怪獣ムートーと対峙したあの戦いで、子供の1人を失ったマークとエマは、離婚してエマは中国で発見された巨大な怪獣モスラの卵の近くで娘・マディソンと暮らしていた。そしてモスラが誕生したその日、謎の武装集団に施設は襲われてしまう。同じ頃、芹沢博士率いる巨大生物を監視する組織ムートは、アメリカの校長委員会に出席、軍隊が世界中で発見されている怪獣を殲滅することを提案するも、芹沢博士はそれを断った。エマとマディソンは謎の武装集団と南極のムート基地へ向かい、そこでマークと再開する。誘拐されていたと思っていたエマは実は武装集団と協力し、世界各地の怪獣を呼び覚まし、人類の築いた文明を破壊、地球再生を目論んでいた。南極に眠っていたキングギドラを蘇らせた瞬間、眠りについていたゴジラも蘇り、同時に世界各国17箇所で巨大生物が復活、人類文明は壊滅的打撃を被るのだった。東宝が各怪獣の版権を貸し出すことで実現した本作は、パシフィック・リムなど、近年は怪獣映画を作ることで有名なレジェンダリー制作の作品であり、前作が大ヒットしたおかげでゴジラの続編が制作されることとなった。前作ではゴジラ映画の王道ではあったものの、ゴジラの登場シーンが少なかったのが個人的にはがっかりだったが、本作ではゴジラはもちろん世界中が怪獣だらけになっています。本作は世界中に残されている巨大神獣、幻獣伝説は本当のことであり、世界には太古の時代にまだ知らない文明が栄えており、その文明人たちが神々として崇めていたのが世界中に眠る怪獣たちであった、という設定になっている。そしてキングオブモンスターズの題名の持つ意味を理解した時、ゴジラは暴れる原子怪獣から地球に以前存在していた知的生命体であると私には思えた。ただ残念なことにゴジラ映画史上最多の怪獣が登場しているはずなのだが、そうした怪獣があばれるのは一瞬だけであり、ほとんどがゴジラとキングギドラにフォーカスされてしまっている。せっかくオリジナルの怪獣を出すのであれば、世界中が崩壊するところをもっと入れてほしかった。この映画には更に続編があり「キングコングVSゴジラ」が予定されている。日本でもっともゴジラ映画が人気だった時代のハリウッドリメイクになるわけである。ただここまで破壊された地球でこれ以上怪獣が暴れれば、本当に地球が滅ぶだけのエンディングしかないと思ってしまった。
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「アルゴ」注意:ネタバレ、長文2012年のアメリカ映画であり、実際に発生した1980年のイラン国アメリカ大使館人質事件を題材にしている。物語はイランで反体制派が革命を起こす。これに危機感を抱いた国王は国外に逃亡し、それをアメリカが匿ったことから、イランのアメリカ大使館が選挙され、多くのアメリカ人が人質にされた。しかしこの時、大使館を離れていた6名のアメリカ人がカナダ大使公邸に避難していた。イラン人たちはこのことを知らず、この間にイラン国内から6名を救出することをCIAが画策する。そこにトニー・メンデスという職員が奇抜なアイディアを提示した。「アルゴ」というSF映画のロケ地を探しているという名目でイラン国内に入り、6名をスタッフとして国外へ連れ出すというものだった。この作戦に向け、トニーは本当の映画会社、映画企画、プロデューサーを雇い、作戦は決行されることになる。本作は実際に起こったイラン国内でのイラン革命による人質事件を題材としており、長年、この人質事件の6名を助け出したのはカナダということにされていたが、近年になりCIAのトニー・メンデスが面白い作戦を実行していたことが明るみに出て、これをジョージ・クルーニー、ベン・アフレックらが映画化したのが本作である。まずこの映画の面白い点は、トニーが作戦を考えつくところである。人質救出という迅速かつ精密さを要求される作戦を立案する際、スター・ウォーズのファンだった息子と電話で話したトニーが作戦を思いつく。これはSFファンからするとすごく嬉しいシーンでもあった。そしてSF映画、架空とはいえスタッフを集めるシーンはコメディタッチで面白く、内容がシリアスだと思っていたら、前半はオーシャンズ11のようにテンポが良かった。これとは対照的に後半は命のかかった作戦になる。冗談のような本当の作戦で6人の命を救出するのだから、最後は本当に緊迫した状況に、リアルを感じた。本作はこの年のアカデミー賞、作品賞を受賞するなど評価がいい。その反面、イラン国からは「革命の背景が描かれていない」という批判もあり、改めて別の映画でそうした背景を描くことが発表されている。
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「ブレードランナー2049」
注意 ネタバレ、長文
1982年制作後、いくつものバージョンが世の中に登場し、公開当時は人気はなかったものの、現在ではSF映画の金字塔の一つとまで言われるリドリー・スコット監督、フィリップKディック原作の「ブレードランナー」。その続編が2017年に制作された本作である。
前作の監督リドリー・スコットは製作総指揮となり、前作主演のハリソン・フォードも出演した。
当時のアカデミー賞で5部門にノミネートされるなど話題となった。物語は前作、ブレードランナー・デッカードがこの世界で作られ、地球外の作業をこなすアンドロイド・レプリカントの始末をする役目を受け、その1人であるレイチェルと逃げてから数十年が過ぎていた。
世界は大停電と呼ばれる世界規模の停電によって、古いデータはすべて消滅し、レプリカントを製造していた一大企業タイレル社もデッカードの事件で社長のタイレルが死んでからも、レプリカントを作り続けていたが反乱を起こすことで、タイレル社はレプリカントの製造を中止、廃業していた。
そこにウォレスなる天才が現れ、暴走し短期の寿命しかないネクサス6型を更に進化させ、寿命を持たず、反乱を起こさないレプリカントの製造に成功した。
これにより人間とほとんど変わらない人造人間が人間社会に入り込み、共存する時代が到来していた。しかし任務を外れるレプリカントは必ず出てくる。そこでブレードランナーは未だ必要とされていた。
ネクサス8型レプリカントのKは、タンパク質の芋虫栽培をするレプリカントのもとを訪れる。彼は軍隊用のレプリカントでありながら任務を放棄したことで、Kに「解任」された。
ところが周囲を捜索すると枯れた木の下になにか箱が埋まっていることが判明する。
本部に戻り報告を済ませたKは家に帰り、ウォレス社が発売しているホログラム女性型AIと愛を語り合っていた。そこへ連絡が入り、箱の中身が白骨化したレプリカントの遺体であることが判明する。しかも妊娠した痕跡まであったのだ。
作られた存在のレプリカント。その人と作り物の違いは繁殖能力の有無だけ。
Kは上司に言われ、子供が生まれたのか、生まれているならばどこにいるのかを探索し始める。ようやく観ることのできた映画であります。
ブレードランナーは劇場公開用も含めほぼすべてのバージョンを観ているので、私の中では大きな作品になるのですが、その続編ということもあり、警戒心をいだきました。
名作の続編は作る必要性があるかどうかにあります。
近年ではスターウォーズの続編の是非がファンの間では問われていますが、このブレードランナーもおそらくその一つと言えるでしょう。
リドリー・スコット監督は同時期にエイリアンの前日談を制作していたので、テーマ性が同じであり、2つの作品はどこかで世界観がつながると個人的には考えています。
そしてようやく観ることのできた本作。
まずその映像に驚かされました。美術の独特な世界観、サイバーパンクの町並み、ホログラムのヒロインが実際の人間と触れ合う感覚。どれをとってもこれまでになかった独特の映像美であり、アカデミー賞、視覚効果賞を受賞するのも当然のことだと思いました。
物語としては複雑だと聞いていたのでしが、個人的にはレプリカントが生んだ子供を探し求める話であると単純に解釈ました。
そしてこの映画に登場するレプリカントたちは、旧作からすると新型になります。ですので、前作のレプリカントたちとどこか雰囲気が似ているのは、当然であり、機械の進化というものをうまく人造人間で表していると思いました。
また本作に登場するレプリカントやAIは、自分が特別な存在でありたい、今の生活からいつか特別な世界に旅立ちたいと思っており、それが随所に見えています。
しかしながら本作最大のテーマである人の作ったレプリカントが子供を作る。その特別な存在になれなかった人々、近づこうとしても近づけなかった人々。それが中途半端に見えてしまうかもしれません。
個人的には手を伸ばしても届かない。その描き方が現実を表しているようで、妙に親近感をいだくことができました。
肝心のこの映画の必要性ですが、この映画のテーマ性はエイリアン・コヴェナントと同じく、生命の創造、という壮大な部分に踏み込んでいるので、リドリー・スコット監督の作る続編としては正しいのですが、ブレードランナーという映画の続編にする必要性はあまりないのかな?
旧作には公式か非公式かわかりませんが後の世界を描いた小説があり、そちらのほうがよほど続編的であり、デッカードが主人公として描かれているので、面白そうではありました。
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「おろしや国酔夢譚 」
注意 ネタバレ、長文井上靖原作の同名小説を緒形拳主演で1992年に斜陽にあった大映が制作した映画である。物語はまだ鎖国時代の日本、大黒屋光太夫が率いる貨物船は嵐にあい難破してしまい、遭難する。船上で死ぬ者も出る中、陸地にたどり着いた一行を待ち受けていたのは、見ず知らずの民族だった。彼らはロシア帝国の島へ流されていたのである。そこで原住民に助けられながら、極寒のロシアを体験しつつ、流木を削り出しなんとか船を作り、ロシア帝国本国へと入る。が、凍傷で足を失いロシアに帰化する者などもありながら、最後の望みをかけ、大黒屋光太夫は、ロシアの女帝エカチェリーナⅡ世へ懇願し日本へ帰国する道を模索し始める。1992年の日本映画界は冷え切っていた。そんな中で大作の大映が制作費18億円を投じ、ロシアの全面協力を受け、ロシアでのロケも行った本作。まず鎖国時代に海外に流されたと聞いて思いつくの「ジョン万次郎」であるが、それよりも前にロシアに流され、9年半もの期間、ロシアで暮らし、ロシア語を取得した人物たちがいたことに驚き、あの寒さと異文化の中で日本に帰ることをひたすら願った人々。この映画は狭い国、しきたりを重んじることで心を失った日本人への提言のような映画だと個人的には感じた。作中、異国で助けてくれたのはロシア人であり、日本に帰れるように尽力してくれたのもロシア人だった。鎖国時代の日本は外国を締め出すことしか考えておらず、史実では大黒屋を帰国後、ロシアとの政治的道具として利用しようとしたらしいことも明らかになっている。しかし帰国した大黒屋はロシアでの経験を後世に語り継ぐべく江戸で様々な人に話しを聞かせ、蘭学の発展にも貢献した。歴史の中に埋もれてしまうマニアックな人物かもしれない。だからこそこうして映画でしることこそが、日本人にとって大切なことなのではないだろうか?
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「ラストナイツ」Last Knights
注意:ネタバレ、長文2014年公開のアメリカ映画であり、日本人映画監督・紀里谷和明のハリウッドデビュー作である。物語は架空の国家。皇帝の命令で首相に任命されていたギザ大臣は己の好むように、各領主から賄賂を受け取っていた。しかしのかもその命令に背き、誠実にあろうとするバルドーク卿は、招集され訪れた首都で大臣を傷つけてしまう。これを大げさに騒ぎ、御前会議にまで発展した。しかしバルドーク卿は一切の言い訳をせず、大臣を叱責する。これに憤慨した大臣は皇帝に口添えし、バルドークの護衛隊長ライデンの手で殺させるのだった。復讐を恐れた大臣はバルドーク家を離散させ、家臣たちも散り散りになる。ライデンは妻と暮らしながら酒浸りになり、風俗通いを1年続けていた。だがこれには理由があった。紀里谷和明監督は本当に不遇の監督だ。デビュー作、CASSHERNでは日本国内の評論家に叩かれた。しかしハリウッドからオファーがあり、複数の映画が動いていたという。ところがリーマンショックによりすべての映画が白紙となり、日本に戻りGOEMONを撮影するも、評論家は批判してばかりだった。そしてようやくハリウッドで作られたのがこのラストナイツだ。前2作はCGを使い、現実ではありえない映像を作った。しかし本作ではセット、実際の建物などを使って撮影され、これまでの作品とは違う作品の色が出ている。本作は忠臣蔵を原作としており、キアヌ・リーブス主演で同様のテーマ作品が作られております、制作が遅れたがようやく完成した。ところが公開されると、内容がこれまでに幾度も作られてきた騎士道を題材にした映画と変わりなく、これといった売りもない映画になってしまっている。面白いし、胸が熱くなる。だが何も残らない。普通の映画になってしまっている。監督に求められたのは、きっとCGを駆使したすごい映像だったと思うのだ。それが普通になってしまった。
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「ザ・メガロドン」
注意 ネタバレ、長文。
2018年、アメリカ制作の映画である。近年、ジェイソン・ステイサム主演の「メグシャーク」の人気にあやかって制作された映画である。
物語は航海中のアメリカ海軍の船が何らかの移動体と衝突する。同じく難破したロシア軍の軍艦の生き残りを救出したのだが、彼らは海中に潜む巨大なサメによって襲われているという驚愕の真実を知るのだった。
アメリカ軍はある種の機械音にサメが引きつけられていることに気づき、電気による攻撃を行おうとするも、助けたロシア軍の兵士と対立関係になり、銃撃戦となってしまうのだった。何故か配信サービスのトップにおすすめとして登場したこの映画、サメという時点で嫌な予感がしたのだが、パッケージの迫力に負けてみてしまったが案の定、上記の通りジェイソン・ステイサムの映画の表紙を意識した、サメがほとんど出てこない銃撃戦映画。そしてCGの今の時代でこれか、と驚くクオリティ。
はっきり言ってB級映画の王道なのだが、どうせだったらシャークネード、メガシャークのように馬鹿をやってほしかった。中途半端に銃撃戦をしたのは、なぜだったのだろうか?
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「グレートウォール」The Great Wall
注意:ネタバレ、長文2016年制作の中国、アメリカ合作映画である。チャン・イーモウ監督がハリウッドで制作した最初の映画である。物語は2000年前、中国では暴君に悩まされていた。そこに天帝が隕石を落とし、モンスターが溢れ出した。それを阻止すべく、時の権力者たちは、万里の長城を築いた。モンスターは70年周期で現れ、ある時、モンスターが現れた年に2人の白人傭兵が蛮族に襲われ、万里の長城にまで逃げてきた。2人は中国防衛軍に捕まるも、その腕前を見込まれ、中国防衛軍と共に戦うことになるのだった。映画を観て一言言うのであれば、なぜ?なぜ北京オリンピックの演出までやった中国随一の監督が、このファンタジーSFを撮ったのか?HERO、LOVERSのあの色合いはあったものの、あの美麗がみられなかった。やはりハリウッドは魔界と言われるだけあって、他国の監督が行くと潰されるのだろうか?面白くないわけではないのだ。しかしそこにチャン・イーモウの壮大さ、美しさが少し欠けていた気がする。もっと万里の長城を使った大軍勢の戦いや、苦悩などを描いてほしかった。
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「レディープレイヤー1」Ready Player One
注意:ネタバレ、長文
2018年公開のスティーブン・スピルバーグ監督、小説「ゲームウォーズ」原作のSF映画である。
物語は2045年、環境汚染によって貧困層が増えた時代、現実を忘れて仮想現実宇宙「オアシス」に居場所を求めた多くの人々が、毎日ゴーグルをつけVR世界へ没入していた。
ウェイドもその1人で両親を早くに失い、育ててくれた叔母は暴力を振るう男と一緒に住み、家に居づらい彼は、現実を忘れオアシスに入り浸っていた。
仮想現実オアシスには3つの鍵が隠されていた。オアシスの設計者であり世界一の大富豪が、死ぬ間際に鍵を隠したと公表、多くのプレイターが鍵のありかを求め、設計者ハリデーが作った謎とゲームに挑んでいた。
だが、世界最大の市場となったオアシスを手に入れる権利を求め、IOIなる企業が組織的にオアシスへアバターを送り込み、鍵を探していた。そして現実でも、その妨害は始まっていた。
3つの鍵を求める冒険の中で設計者ハリデーの苦悩をしっていくウェイドは、次第に人生が変わっていくのだった。スティーブン・スピルバーグ監督が久しぶりに大人から子供まで楽しめる娯楽映画を作った。まずはそこが嬉しかった。
現実の延長線上にあるVRを題材に、現在のネット社会が更に巨大化した世界。それを見事に描き、今もあるネット上だけのつながり、友達と呼べる存在を描いている。
しかし仮想現実の世界だけではなく、現実世界の必要性、厳しさ、現実世界でのマネーゲームなども描き、仮想現実だけにとどめていないところが、この映画の面白い点だ。
そしてなんといってもオタクにはたまらないシーンがたくさん登場する。
まずは冒頭のバック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンと映画アキラのバイクがレースをするシーン。そこにキングコングが登場するのだから、冒頭30分で満足してしまうほどだ。
更に要所要所に日本のオタク文化、日本人やゲーム、アニメを知らない人にはちょっと分からない部分もあるが、ゲームからはオーバーウォッチ、へイローのキャラクターが登場し肝心な場面ではメカゴジラ、ガンダムが登場。私がなにより嬉しかったのは、スピルバーグが要所にバットマンネタを入れてくれたことだ。
スピルバーグの好きなものがとにかくてんこ盛り。
オタクの夢見た映画がここにある。オタクだからこそ理解できる世界がここにある。
この映画は全人類に観てほしいし、絶対に面白いと感じられる映画になっている。
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「空海 美しき王妃の謎」Legend of the Demon Cat
注意:ネタバレ、長文
2017年、日中合作映画である。製作費150億円という前代未聞の映画である。
物語は唐の時代。日本からの遣唐使を筆頭に、世界最大の経済大国となっていた唐には、世界中から優秀な人材が集まっていた。
その中には、若き日の空海の姿もあった。
ある日、唐の高官の家に言葉をしゃべる猫が現れ、金を与える。しかしそこから王宮での王の死。売春宿での騒ぎなど、決まってしゃべる黒猫が現れる。
その謎を空海が追い求め、そこに楊貴妃の謎の死の真相が待っていた。前代未聞の150億円のアジアを挙げて取り組んだ超大作ファンタジー映画であるが、日本でも中国でも評判がよくなかった。
楊貴妃の美しさ、それにみいられた男たちの物語なのだが、謎解きの部分が非常に多く、多少、物語の繋がりがないようで、そこが不評だったのかもしれない。
また日本側の主人公が空海だったのが、受けが悪い要因だったのではないでしょうか。
密教の開祖の若いころ。宗教に興味、歴史に興味がなかったら、正直観ないだろう。
でも、なんだかすごく感動した。
最期は本当に感動した。
150億円かけた映像はすごい部分もありながらも、もう少し派手にならなかったろうか、と思えるところもあった。興味ある方は、是非、観ていただきたい。
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「電脳麻薬ハンター」TekWar (1994)
スタートレック宇宙大作戦のウィリアム・シャトナーが原作をつとめ、小説、ドラマ、ゲームとなったダイバーパンクSFのテレビ映画である。
物語は2045年、元潜入捜査官の主人公は、罠にはめられ命をおとしかけたが、一命をとりとめた。その後、彼は罪を着せられ冷凍睡眠にかけられ、目覚めた時、妻も息子も居ない世界で、パートナーと共に自分をはめた連中を追いかける。
本作はヘッドセットで電脳世界が麻薬として使用されている独特の世界である。つまり現実を忘れ、電脳世界で暮らすということが、麻薬と同じように使われている世界になる。
本作はウィリアム・シャトナーが原作を書き、あらゆるメディア展開され、本作でも上司役として登場している。
マトリックスなどがサイバーパンクとして描かれるが、本作はまた別の方向性のサイバーパンクが描かれていて、面白い。
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「トランセンデンス」 Transcendence
注意:ネタバレ、長文
クリストファー・ノーラン制作、ジョニー・デップ主演の2014年の映画である。
物語は人工知能の研究が盛んになっている現代。人工知能研究者のウィルは人生で最も愛したエヴリンと一緒に生活をし、研究に没頭していた。しかし世間ではテクノロジーの発展が危険だと主張し、テロ行為を行う組織によって、研究者の大量殺戮が行われ、ウィルもその標的となり銃弾を受けてしまう。幸い、一命はとりとめたものの、銃弾内部に放射性物質が含まれており、血液にまじり体内被曝したウィルは余命わずかと宣告される。
ウィルが研究していた量子プロセッサーを使用したAI研究は中止することになり、ウィルは最後の瞬間を妻と暮らすことを選ぶ。
だがエヴリンは夫を失うことに耐えられず、量子プロセッサーのコアを一部盗み出し、そこへウィルの意識の移植を決意する。
だがそれは人類にとって最大の危機となる。物語が描く人工知能が人類の知識を凌駕するというのは、今現在も器具されることであり、スマートフォンやPCでネットにいつでもつながっていられる人間社会にあり、この映画で描かれることは、SF映画でありながら現実におこりうることに思える。
人は感情に流される生き物だ。それは普遍的であり、この映画にも描かれている。エヴリンは夫を愛するからこそ、夫の意識を電気信号にして機械に移植しようと考えた。
だがそれを専門とする夫婦の親友マックスは、人間の感情を電気信号にするのは不可能だと結論づける。
この映画では人間がAIに対し恐怖し、シャットダウンを試みる。それは「ターミネーター」で描かれた未来像と似ているが、私はあの未来像は人間が描く未来像であって、もしかするとこの映画の結末に描かれた部分こそが、AIが人間の知識を超えた時に起こり、結論づけることなのかもしれないと思った。
人は争いに行き着く生き物であるから、どうしても争い、支配などに結論が行き着いてしまう。
だがそれはあくまで人間の思考が考えつく結論であり、人間を超える人工知能が現れた時、そこに結論が行き着くとはどうしても思えない。
そして私は個人的に人工知能が人を超えることを望んでいる。それがどんな形であっても、人の知識を超えたものに触れてみたいと思ってしまった。
だからこの映画を観て危機感や脅威といったものは感じられず、自分だったらもっと深く関わりたいと思ってしまった。
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「ダイバージェントFINAL」The Divergent Series: Allegiant
注意:ネタバレ、長文
2016年アメリカ制作のSF映画であり、原作「ダイバージェント第三部」の上巻を基に制作されている。
物語は前作の直後からスタートする。前作で独裁的な政治を推し進めていたジェニーンと主人公トリスの恋人であるフィンの母イブリンの対立が戦闘になり、ジェニーンが追い求めていた200年前の遺物がトリスによって開かれ、シカゴの外、崩壊した世界の外にも人が住んでいることを知らされ、人々は街を出て外へ向かう。が、イブリンの派閥は塀やゲートを閉鎖して、外に本当に人がいるのかを確認するまでは、誰も出さないことを宣言する。
トリスとフィンは外を目指すことを決め、脱出に成功する。
するとそこには高度な科学技術を持った街が存在し、世界の真実、シカゴの真実を知ることになる。
外の世界に行くことによって、世界観が急激にSF色を刻して、交配した世界、発達した文明都市。空中を飛ぶ乗り物。多角的にみることのできる戦闘スタイルなど、別の物語のように思える展開になってくる。
が、序盤こそいいものの、後半は前の2作品となんだか同じような展開になっていき、結局、人類の進化していない世界に見えてくるのがすごく残念だ。
この映画、前後編に分けて制作される予定だったものの、このFINALがあまり興行的に成功したとは言えず、制作陣はテレビ映画として続編を作る予定だったのだが、今度は俳優陣からテレビ映画ならば出演しない、との宣言が出てしまい、作中に張られた伏線は回収できないままになって終わってしまった。
噂ではドラマ版の制作が進んでいるという話もあるものの、今の所、実現していないところをみると、原作の下巻にあたる本当のFINALは見れない確率が高いようだ。
シリーズはこちらから「1・2・3」
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「ダイバージェントneo」The Divergent Series: Insurgent
注意:ネタバレ、長文
2015年公開のSF映画であり「ダイバージェント」の続編となる映画である。原作は同じくダイバージェントの続編である第2部となっている。
物語は前作からまもなくの世界。主人公トリスは崩壊後の世界で唯一の生き残りである人々が派閥を作り、そこに属することで一生を決められる社会体制の街で生きていたが、前作で博学派閥のリーダー、ジェニーンの独裁的な圧政に立ち向かい、街の外れにある平和派閥に闘争した人々とともに匿われていた。
その頃、トリスの両親が隠し持っていた、崩壊以前の人々が残した遺産をジェニーンが発見する。その遺産を起動させるには、ダイバージェント。どこの派閥にも属さない性質を持つ人間が必要だった。
だがダイバージェントにも強さがあり、トリスはとりわけ強いダイバージェントであり、ジェニーンはトリスを追うのだった。
トリスは自分のせいで両親も友も犠牲になることに苦悩し、自ら博学へと向かうのだった。
愛する男性フィンと結ばれた翌朝に。お芝居は二幕が一番おもしろい、と言われるがまさしくそのとおりだった。
1作目は正直、私の好みではなかったのだが、2作目は予算が増えたのだろう、前作よりも映像に凝っており、非常に面白い仕上がりになっている。
脚本の側面からも、続編によくある見せ場だけ、アクションだけの映画ではなく、しっかりと前作を踏まえた流れになっており、良かった。
前作を我慢して見て、この2作目を楽しむのもまた、映画の面白さかもしれない。
シリーズはこちらから「1・2・3」
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「ダイバージェント」Divergent
注意:ネタバレ、長文
2014年、アメリカ制作のSF映画である。
物語は世界崩壊後、最後の人類はシカゴに最後の都市を作り生活していた。二度と人類の滅亡が起こらぬよう、人類がある年齢に達したら、幻覚剤を飲み、そこで行った行動で5つの派閥に振り分けられて、一生を過ごすことになっていた。しかしいずれにも属さない者たちは迫害され、貧しい生活を送っていた。
主人公トリスも適正テストを行うと、どの派閥にも属さない異端者「ダイバージェント」だと分かる。しかし適性テストを行った女性は彼女を逃してくれ、好きな派閥に入ることをすすめる。そして彼女は勇敢を司る派閥に入り、そこで戦い、恋をし、社会の裏に潜む邪悪に気づく。アメリカ本国ではティーン向け小説として人気だった小説を原作にしたとあり、公開後、興行的に成功した本作は、後に続編が作られることになる。
おそらくこの流れは「トワイライト・サーガ」「ハンガー・ゲーム」と言った、ティーン向けの小説を映画化する一連の流れの中で出てきた企画と思われ、内容としては非常にわかりやすい物語となっている。
ただ一般的なSF小説、SF映画を観てきた大人たちにとっては、なにか物足りないというか、話しがあまりにもストレートすぎ、また弾けるわけでもない現代的な若者を描いているところを見ると、現代的といえるのかもしれないが、この映画の世界観があまりにも安易で、私としてはのめり込めなかった。
複雑な人間をたった5つに分けてしまう。しかも他の派閥との交流を極端に避ける。確かにそこには争いがなくなるかもしれないが、物語の中で後半に起こってくることがよく200年も起こらなかったものだ、と突っ込みたくなる。
また厳格の中で主人公が他者とは違うふうに適応していく姿が描かれているが、その部分をもっと深く掘ってほしかった。
あるいはサイバーパンクのように、実は全部幻覚だった、という話しでもあるいはよかったような。
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「スプリット・セカンド」splitsecond
注意:ネタバレ、長文
1992年のアメリカ、イギリス合作のSFホラー映画である。
主演はブレードランナーのルトガー・ハウアー。監督は「バーニング」のトニー・メイラム監督がつとめている。舞台は温暖化と豪雨でほとんどが水没した2008年のロンドン。はみ出し刑事ストーンは、相棒を殺されてからというもの、コーヒーとタバコとチョコレートで生きているような男になり、強引な捜査、支給された武器以外を使うなど、上司も頭を抱える男になっていた。
そんな中、若い刑事が彼の相棒となる。博学な相棒は精神科医の資格もあり、ストーンのカウンセリングを任せられたのであった。
そんな矢先、殺した挙げ句心臓を抜き取るという連続殺人事件が発生する。その犯人が相棒を殺したやつだと知り、ストーンは誰の言うことも効かずに、犯人を追いかけ始める。
だが事件を2人で追いかけるうち、それが人間の仕業でないことが次第に理解できていく。90年代のアクション映画を観て育った世代としては、まさしく私が昔みていた感覚、質感の映画であり、世界観も好きな退廃した近未来が舞台となっていたすごくいい。
しかし監督や制作陣が主演にルトガーを起用し、雨の中の退廃したロンドンを舞台にしたというのは、明らかにブレードランナーを意識しており、ブレードランナーインスパイア系映画であることは、ほぼ間違いないだろう。
逆にブレードランナーが好きな人であれば、この映画は面白く観られるはずだ。
またある雑誌には近年のアメコミ映画「ヴェノム」をやりたがっている映画、という見出しがあるように、ラストを見ればこの意見に同意できる。
おそらくヴェノムをやりたかったが版権がとれず、パニッシャーやヴェノムのイメージをブレードランナーの世界観に入れた、というのがこの映画が作られた経緯ではないかと邪推してしまう。
近年のSF映画のようにVFXや派手なシーンはないものの、暗くよどんな世界は、間違いなく好きな人にはたまらない映画になっている。
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