すべてを破壊する最強の兵器
「ミカドロイド」
評価:★3,3
・映画おすすめ 物語
第二次世界大戦中、日本陸軍は密かに百二十四式特殊装甲兵ジンラ號計画を進めていた。
人体を改造、機械と人間を合わせたサイボーグ兵器、不死身の兵士の開発がそれである。
しかし戦況の悪化から、計画流布を恐れた軍部は、研究を闇に葬ることにした。
だがそうはさせまいと開発中、まだ肉体が残っている研究体、岡崎、利重を博士は苦し、唯一完成しているジンラ號を起動させた。
ところが博士は息絶え、施設は空爆で瓦礫の下に埋もれてしまった。
それから45年。
研究所の上にはビルが建ち、その地下にはディスコが入っていた。
ある日、地下駐車場で遊んでいた若者グループが殺戮される。
そうとは知らず、電気工事にやってきた冨田とディスコを楽しめず、男と帰ろうとしていた彩子は、復活したジンラ號と対峙してしまう。
復活を感知した岡崎、利重は、開発段階で不死身の体を得ており、若いままこの時代までジンラ號復活を待っていた。
駆け付けた二人は銃器でジンラ號と戦う。
その間に冨田と彩子はジンラ號がはい出てきた地下施設へと逃げ込むのであった。
・映画おすすめ 感想
本作はVシネマ全盛期、バブル真っただ中に作られたSF映画である。
東宝シネパックという新しいブランドのオリジナルビデオ映画第一弾として制作された。
本来は日本軍が開発したゾンビが人間を襲うホラー映画を製作する予定だったが、当時、ある事件がきっかけでホラー映画へのバッシングが高まっていたことから、企画が変更された。
特出すべきは、今、特撮界隈でトップを走る樋口真嗣の特撮デビュー作であることと、音楽担当が川井健次であることだろう。
今、映画界を引っ張るこの二人がかかわっている映画である。
しかし内容はいささかお粗末に思えた。
主人公たちにセリフが前半はあまりなく、主人公の彩子は叫ぶばかり。
しかも不機嫌の理由すらわからない。
さらに同じ開発をされていた岡崎と利重がなぜジンラ號と戦うことになるのか、説明がまったくない。
そして最大にがっかりがジンラ號のデザインである。
設定では弾丸をはじくため複数枚の鉄板を重ねたことから、ずんぐりむっくりになったとあるが、さすがにあの土偶デザインはない。
設定上、上空に射出され背中から蜘蛛の足のようなものが出て敵爆撃機に密着、破壊するらしいのだが、その設定も説明がないので、いきなり最後に岡崎の背中から蜘蛛の足が出てくる。
東宝、円谷、東北新社がかかわっている割に、予算のないB級映画になってしまっている。
だが特撮、セットは大がかりなものを使っているので、そこは見どころであり、ラストはバブルに戦争を体験した現代人たちが取り残される様子が描かれ、なにか胸に来るものがある。
このアンバランスが不思議な映画であった。
監督 原口智生
脚本 原口智生
武上純希
製作 東宝
円谷映像
東北新社
出演者
伊武雅刀
洞口依子
森本レオ
音楽 川井憲次
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