長寿の果てに得る未来は希望か破滅か
「HUMAN LOST 人間失格」
評価:★3,4
・映画おすすめ 物語
日本は再生医療、ナノマシン、万能特効薬、遺伝子操作の四大医療革命によって、120年の無病長寿の時代を迎えていた。
病やケガはネットワークで管理されたナノマシンが即座に直してしまい、死ぬことがなくなっていた。
しかしガスマスクが必要なほどの大気汚染、富裕層が住むインサイド、貧困層が住むアウトサイドの差別。
長期労働の問題など、大きな問題を抱えつつ、未来を見失っていた。
そんな中、医療革命をすべて指揮するSHELLから逸脱し、細胞の暴走によるロスト化現象というものが起こっていた。
ロスト化した人間はロスト体と呼ばれる化け物と化し、人間には戻れなくなっていた。
しかしSHELLはそれを隠し、人々は何も知らずに生きていた。
スナックの二階に住みただ絵を描くことと、薬物乱用で漫然と生きていた大庭葉蔵もその一人だった。
彼は暴走族の友達に誘われ、インサイドに特攻を仕掛ける作戦に無理やり参加させられる。
だがその最中、友はロスト現象を起こし、ロスト体になる。
それに巻き込まれた葉蔵もまたロスト体になるも、ロスト体とは違うものへと変化し、友であったロスト体を引き裂くのだった。
暴走する彼の元へロスト体処理を担うヒラメ機関の幹部柊美子が現れ、葉蔵を人間の体に戻すのだった。
そしてヒラメ機関に保護された葉蔵はロスト現象のこと、ロスト現象を引き起こしている、葉蔵の知り合い堀木正雄が危険人物であることを知らされる。
さらに日本は今、未来が見えない状態にあり、美子が望む美しい希望の未来になる可能性も、正雄の望む破滅的な未来に進む両方の可能性にあった。
それを決めるキーパーソンこそ葉蔵であると美子はいうのであった。
困惑する中、葉蔵は二つの可能性を見せられ、再び暴走してしまう。
はたして彼の選ぶ未来はどちらなのか。
・映画おすすめ 感想
古典文学のSF化。
題名通り、本作は太宰治の人間失格をSF設定に作り替えた野心的な作品である。
しかも設定がかなり入り組んでおり、SF好きが見ても、容易に理解するのが難しい作品になっている。
とにかく説明が欲しくなる映画である。
SF映画全般が設定の塊であるのは承知の上なのだが、本作はその中でもなかなか難しい映画になっている。
主人公とヒロイン、悪役の関係性がいまいち把握しきれない部分があり、人間でないのは理解できるのだが、なんなのかがわからない。
またSHELL機関の老人たちもどういった立場なのかも明確に説明されていないので、難しい。
センスオブワンダーを駆使して、なんとか自力で理解するしかないのかもしれない。
人間失格の名言「恥の多い生涯を送ってきました」がやはりうまく使われていると思えた。
監督 木崎文智
脚本 冲方丁
原案 太宰治
『人間失格』
出演者
宮野真守
花澤香菜
櫻井孝宏
福山潤
沢城みゆき
千菅春香
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