あの日、900番教室で何が行われたのか
「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
評価:★4.6
・映画おすすめ 感想
本作はTBSが唯一保存していた、三島由紀夫と東大全共闘との討論会を基盤とした、ドキュメンタリー映画である。
結論からいうと、管理人の頭の許容量を超えた討論で、話が見えなかったというのが、個人的な見解だ。
60年安保からの流れを直接的に受けた全共闘。
1968、1969年は世界中で革命の嵐が吹き荒れた。五月革命、公民権運動。
日本でもベトナム戦争反対を掲げる革命。
全共闘は各地で革命、つまり左翼運動を訴え、東大だけでいえば、安田講堂を占拠した事件が有名である。
それは警察によって鎮圧された。
しかし全共闘は敗北したわけではない。
それがこの討論会へとつながるわけである。
討論会の司会者が三島由紀夫に連絡をする。
今ではきっとかんがえられないことであろう。
保守派を高らかと掲げる三島由紀夫に革命を訴える全共闘が連絡をするのだから。
しかも三島由紀夫はそれを承諾してしまうのだ。
こうして保守と革命の対立構造にある両者が、東大900番教室で対峙することになる。
教室の前には三島ゴリラ、飼育料100円などと小ばかにするポスターが貼られていた。
それを見ながらも、三島由紀夫は敵地に乗り込み、伝説が始まったのである。
討論は保守と革命という簡単なものではない。
個人的に特に難しく、この映画で一番の見せ場でもある、三島由紀夫と芥正彦の議論であろう。
この二人の議論は言葉の選び方、何かを話しながらも、しかし対立しながらどことなく理解しあえている。
そんな感じに見えてしまう。
三島由紀夫も全共闘も個人的にみていると、分かり合えているように見えてくる。
対立にありながらどこか根底で何かが一緒なのだと。
そう見えてしかたのない討論会であった。
このころ、三島由紀夫は大学に招かれては、学生と討論をしていた。
三島由紀夫は若者に自分の言霊を託したかったようにも見える。
現にこの討論会でも暴力を否定はせず、捕まる前に自決する、と公言している。
それが一年半後に本当に行われることになるのだ。
50年目の真実。
誤解され続けた男の言霊。
是非、見ていただきたい映画だ。
監督 豊島圭介
ナレーター 東出昌大
出演者
三島由紀夫
芥正彦(元東大全共闘)
木村修(元東大全共闘)
橋爪大三郎(元東大全共闘)
篠原裕(元楯の会)
宮澤章友(元楯の会)
原昭弘(元楯の会)
清水寛(討論会場にいた新潮社カメラマン)
小川邦雄(討論会場にいたTBS記者)
瀬戸内寂聴
椎根和
平野啓一郎
内田樹
小熊英二
映画観るなら<U-NEXT>
映画観るなら<U-NEXT>
PR
映画ランキング
コメント