「ダウンレンジ」
・ハリウッドで日本人監督が出てこないのは力量不足だ。日本人監督はハリウッドじゃかつやくできないだろう。
そんなことないんです。ハリウッドで頑張っている監督がいるんです!
日本人監督が米国に招かれる。あるいはアジア圏、ヨーロッパ、ロシアなどに招かれて映画を撮影することはこれまでにもあった。
そんなことないんです。ハリウッドで頑張っている監督がいるんです!
日本人監督が米国に招かれる。あるいはアジア圏、ヨーロッパ、ロシアなどに招かれて映画を撮影することはこれまでにもあった。
しかし自らアメリカへ拠点を移しアメリカで映画制作を行う監督というのは、あまり多くない気がする。
きっと水面下では幾人もの監督が米国を拠点に映画制作をしているのだが、日の目をみないのだろう。
北村龍平監督もその中の1人である。日本でVERSUSというアクション映画で有名になり、高橋ツトム原作のALIVE、小山ゆう原作のあずみ、ゴジラファイナルウォーズ、ルパン三世などの映画を制作して、現在はアメリカに拠点を移し、ホラー映画をこれまでに3本作っている。
アクション映画メインで日本では活躍していたのだが、米国での初作品ミッドナイト・ミート・トレインがバイオレンスホラーであったことから、米国ではホラー映画監督として認知され、そうした脚本しか回って来ないと自身で語っていた。
2作目のノーワンリブズでは、まだ無名時代のルーク・エヴァンスを主演に迎え、田舎町のチンピラとサイコキラーの死闘をバイオレンスで描き、評判がよかった。
そして3作目となるのがこのダウンレンジである。
米国での映画制作がうまく進まないのか、この映画は日本の制作陣を招いての日米合作映画となっている。
物語は偶然、ある車でヒッチハイクをして乗り合わせた6人の大学生たち。突如、なにもない荒野でタイヤがパンクする。
映画冒頭は出会ったばかりの大学生たちがそれぞれに、他愛もない会話を繰り広げ、男3人がスペアタイヤに交換するという静かな始まりになっている。
が、取り外したタイヤが転がり、1人の大学生がタイヤを持ち上げると、そこから弾丸が落ちてくる。それがすべての幕開けになる。
突如、理不尽にスナイパーに狙撃され、犠牲者が次々と出ていく。
炎天下の中、はたして大学生たちはスナイパーから逃げられるのか?
正直言って、この映画は低予算のB級映画と言ってもいいです。場所は一直線の道路と木々がある開けた荒野。動けない車が一台。
見るだけでお金がかかっていないのは明らかであり、俳優たちも見たことのない人たちばかりである。
だが、インディーズ出身の北村龍平監督らしい、制限の中で何ができるか、どうやったら面白いかというのを考えられた映画だと思う。
※ここからはネタバレになるので、これから鑑賞する人は読まないでほしい。
レビューではスナイパーが犯行を行う理由が説明されていない。という指摘がよく見られるが、米国も日本もそうだが理由もなく人を殺すシリアルキラーはいる。まして米国は無差別に快楽殺人を行う犯罪者がいるのだから、こうした事件が起こっても不思議ではないし、現に車のトランクから無差別に狙撃するという実際の事件もあった。
レビューで次に指摘されるのが、間延びしているとあるが、私個人の意見としては、パニック状態に陥る大学生たちの姿がスリラー映画としては素晴らしかったと思う。
バイオレンスも、米国を拠点にしてから更に拍車がかかったように、すごい残忍になり、これでもかというほどグロテスクな描写が出てくる。
低予算でバイオレンススリラー。北村龍平監督らしい作品だと私は思えて、ファンとしては凄く楽しめた映画でありました。
ただ1つだけ私が気になったのは、大学生たちが行う行為があまりにうまく行き過ぎているような気がした。
後半でタイヤをカッターナイフで切り裂くシーンがあるのだが、そんなに簡単に切れるものか? と思ってしまった。
それとあれだけの出血をしながら動けるものなのか? というのもあった。
そうしたところを抜いても、この映画はバイオレンススリラーとして素晴らしいできだ。
この映画のスナイパーはジェイソンやレザーフェイスのようにシリーズ化してもおかしくないほどのインパクトがあり、私は凄く気に入った。
DVD化されていないので、配信で是非に見ていただきたい。
日本人監督が米国でこれだけ頑張っているのです。応援しましょうよ!
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