「天空の蜂」
2015年公開のクライム・サスペンス映画。
原作は東野圭吾が当時から20年前に書いた小説である。
監督は堤幸彦、主演は江口洋介、本木雅弘。
注意:ネタバレ、長文
日本人はそれを現実で知った。
湯原は錦重工の技術者として大型ヘリコプタービックBの開発に取り組んでいた。仕事一筋の湯原は妻とも子供とも折り合いがうまくいかず、別居することを決めていた。その最後の家族サービスとしてビックBの完成セレモニーにつれていき、セレモニーまで試験飛行場の待合室で同僚と待っていた。
別居を伝えられた湯原の息子は、友達とビックBの格納庫へ入り込み、中へと入ってしまう。その時だった。ビックBのシステムが突如動き出し、飛び立とうとした。
湯原は慌てて外へ駆け出すと、息子と友達が中にいるのを見つけ、飛び降りろと叫ぶ。友達は飛び降りたものの、息子を乗せたビックBはそのまま飛行していき、福井県の原子力発電所の上空に停止した。
そして日本政府に脅迫状が届く。福井原子力発電所以外の全原子炉を停止させること。
しかしこれを政府は最初、拒否するのだった。
現場に技師として到着した湯原は、原子力発電所の人間たち、さらに昔からの知り合いである原子炉の専門家・三島と久しぶりの再会を果たすのだった。
息子の救出作戦と万が一、原子炉にビックBが落下した際の被害と対策、テロリストを追いかける刑事たち。多くの問題をこの状況を引き起こすのだった。
本作は原作者の東野圭吾は「映像化は不可能だと思っていた」というだけあって、内容が非常に大きい。
テロリストが遠隔操作した架空の巨大ヘリを原子炉の真上に配置して、それを落とす。その時の危険性や原子炉の安全性など。日本人はこの小説が描かれた時代、まだ原子力発電というものを信じていたし、日本国政府は原子力発電所の建設を推奨していた。まだまだ希望のエネルギーだったのだ。
この映画でも例えヘリが落下しても、原子炉は何重にも安全な設計をしていることになっているので、放射能汚染が起こる心配はない。
だがこの小説、この映画の1995年から現在への原子力発電所への信用度は激変している。だからこそこの映画は意味をもってくる。
映画公開当時、20年前に東野圭吾が提示した問題が、2011年に現実で突きつけられ、現実がフィクションを超えた。
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