「リンカーン」
2012年公開のアメリカ歴史映画である。
スティーブン・スピルバーグ監督制作。
注意:ネタバレ、長文
時代はアメリカがまだ連邦政府だった頃、北部では黒人奴隷の需要が薄まり、奴隷解放が声高に叫ばれ始めていた。しかし南部では綿花産業が盛んで人でが必要となり、安く使える奴隷制度の維持が必要となっていた。しかしこれは南北戦争のほんの1つの要因であり、様々な政治的事情から北部と南部は戦争状態に入る。
戦争が始まって4年。第12代大統領、エイブラハム・リンカーンは、奴隷解放宣言をしたものの、それは戦時下での臨時的法案に過ぎず、恒久的な法律の制定をするため、議会への法改正を提案した。
しかし奴隷が必要とする南部議員たちの勢力は圧倒的で、北部議員たちは劣勢にあった。また戦争が集結に近づくきこのままでは終戦と共に法案は破棄され、奴隷が再び売り買いされる時代がくる。その狭間でリンカーンは、戦争で亡くした息子たち、妻との確執、戦争の現実などを見ながら、苦労してようはく議員採決の日を迎えるのだった。
アメリカ南北戦争は、どうしてもアメリカ史を学ぶ上で、奴隷解放のための戦争という簡単なくくりにされてしまうが、そこには奴隷解放はもちろんのこと、そのほかにも複雑な理由があり、北部と南部が戦争という最悪の結果に突入したのである。
リンカーンはその焦点を奴隷の是非に向けさせ、さらに国内だけではなく世界の目をアメリカに向けさせることで、世界を味方につけた。
私はこの映画を素晴らしいと宣言した上で、リンカーンは果たしてここまで清い人物だったのかという点について少し疑問がある。
ある考察では、リンカーンは北部には解放を宣言しつつも、南部の一部には奴隷を認めていた、八方美人だったという説もある。
また論点を奴隷解放に向けさせ、世界の目を引いたことで、自らに正義があるように見せた政治家でもあったのではないか、という意見もある。
しかしどんな思惑にせよ、奴隷解放を実現したことは間違いではなかったし、南北戦争を終結させた貢献もある。
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