「ブレードランナー2049」
注意 ネタバレ、長文
1982年制作後、いくつものバージョンが世の中に登場し、公開当時は人気はなかったものの、現在ではSF映画の金字塔の一つとまで言われるリドリー・スコット監督、フィリップKディック原作の「ブレードランナー」。その続編が2017年に制作された本作である。
前作の監督リドリー・スコットは製作総指揮となり、前作主演のハリソン・フォードも出演した。
当時のアカデミー賞で5部門にノミネートされるなど話題となった。
物語は前作、ブレードランナー・デッカードがこの世界で作られ、地球外の作業をこなすアンドロイド・レプリカントの始末をする役目を受け、その1人であるレイチェルと逃げてから数十年が過ぎていた。
世界は大停電と呼ばれる世界規模の停電によって、古いデータはすべて消滅し、レプリカントを製造していた一大企業タイレル社もデッカードの事件で社長のタイレルが死んでからも、レプリカントを作り続けていたが反乱を起こすことで、タイレル社はレプリカントの製造を中止、廃業していた。
そこにウォレスなる天才が現れ、暴走し短期の寿命しかないネクサス6型を更に進化させ、寿命を持たず、反乱を起こさないレプリカントの製造に成功した。
これにより人間とほとんど変わらない人造人間が人間社会に入り込み、共存する時代が到来していた。しかし任務を外れるレプリカントは必ず出てくる。そこでブレードランナーは未だ必要とされていた。
ネクサス8型レプリカントのKは、タンパク質の芋虫栽培をするレプリカントのもとを訪れる。彼は軍隊用のレプリカントでありながら任務を放棄したことで、Kに「解任」された。
ところが周囲を捜索すると枯れた木の下になにか箱が埋まっていることが判明する。
本部に戻り報告を済ませたKは家に帰り、ウォレス社が発売しているホログラム女性型AIと愛を語り合っていた。そこへ連絡が入り、箱の中身が白骨化したレプリカントの遺体であることが判明する。しかも妊娠した痕跡まであったのだ。
作られた存在のレプリカント。その人と作り物の違いは繁殖能力の有無だけ。
Kは上司に言われ、子供が生まれたのか、生まれているならばどこにいるのかを探索し始める。
ようやく観ることのできた映画であります。
ブレードランナーは劇場公開用も含めほぼすべてのバージョンを観ているので、私の中では大きな作品になるのですが、その続編ということもあり、警戒心をいだきました。
名作の続編は作る必要性があるかどうかにあります。
近年ではスターウォーズの続編の是非がファンの間では問われていますが、このブレードランナーもおそらくその一つと言えるでしょう。
リドリー・スコット監督は同時期にエイリアンの前日談を制作していたので、テーマ性が同じであり、2つの作品はどこかで世界観がつながると個人的には考えています。
そしてようやく観ることのできた本作。
まずその映像に驚かされました。美術の独特な世界観、サイバーパンクの町並み、ホログラムのヒロインが実際の人間と触れ合う感覚。どれをとってもこれまでになかった独特の映像美であり、アカデミー賞、視覚効果賞を受賞するのも当然のことだと思いました。
物語としては複雑だと聞いていたのでしが、個人的にはレプリカントが生んだ子供を探し求める話であると単純に解釈ました。
そしてこの映画に登場するレプリカントたちは、旧作からすると新型になります。ですので、前作のレプリカントたちとどこか雰囲気が似ているのは、当然であり、機械の進化というものをうまく人造人間で表していると思いました。
また本作に登場するレプリカントやAIは、自分が特別な存在でありたい、今の生活からいつか特別な世界に旅立ちたいと思っており、それが随所に見えています。
しかしながら本作最大のテーマである人の作ったレプリカントが子供を作る。その特別な存在になれなかった人々、近づこうとしても近づけなかった人々。それが中途半端に見えてしまうかもしれません。
個人的には手を伸ばしても届かない。その描き方が現実を表しているようで、妙に親近感をいだくことができました。
肝心のこの映画の必要性ですが、この映画のテーマ性はエイリアン・コヴェナントと同じく、生命の創造、という壮大な部分に踏み込んでいるので、リドリー・スコット監督の作る続編としては正しいのですが、ブレードランナーという映画の続編にする必要性はあまりないのかな?
旧作には公式か非公式かわかりませんが後の世界を描いた小説があり、そちらのほうがよほど続編的であり、デッカードが主人公として描かれているので、面白そうではありました。
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