第185号「バットマン&ロビン Mrフリーズの逆襲」
「バットマン Mrフリーズの逆襲」ネタバレあり
ティム・バートン制作したシリーズの最終作になる本作は、妻の病気を治療するために、事故で液体窒素に落ちて、ダイヤをエネルギーにすることで体を冷やすスーツを着用したMrフリーズにアーノルド・シュワルツェネッガー。
ブルースの会社が支援するアマゾンの研究室で自分の師匠である科学者の兵器開発を知って殺されながらも、毒液と植物の力で甦ったポイズン・アイビーにユマ・サーマンが出演している。
ブルース・ウェイン役はヴァル・キルマーからジョージ・クルーニーに交代。ロビン役は前回に引き続きクリス・オドネルが抜擢されている。
本作は更に敵としてバットマン最大の宿敵ベインが何故か脇役として登場し、バットガールも登場。さらにアルフレッドがMrフリーズの妻と同じ病にかかるなど、とにかく内容が盛りだくさんとなっている。
初めて鑑賞した時、なぜ敵がMr.フリーズなのか、これがどういったキャラクターなのか、映画の中ではもちろん説明があるのだが、いまいちバットマンとの関係が理解できなかった。
コミックではそれなりにヴィランとバットマンの関係性というのは描かれているので、それを下地にファンは見るのだろうが、所見としてはそれを踏まえた脚本では、ついていけなかった。
またバットマンとロビンのケンカという話、バットガールのバーバラが学校をやめた話。バーバラがゴードン本部長の娘ではなく、アルフレッドの姪に設定が変更されているなど、本当に2時間に収めるつもりがあるのか、というくらいのボリュームのある内容で、そのせいでキャラクター全体が薄くなってしまった。
せっかくシュワルツネッガーやユマ・サーマンを使っているのに薄くなり、主役のブルースを演じるジョージ・クルーニーはおそらく、シリーズで一番、印象のないバットマンになってしまったかんがある。
敵を使うのであれば、後のダークナイト・ライジングでベインをメインヴィランにしたように、脇役にしてはだめだったと個人的には思う。コミックでバットマンを再起不能にしたほどの人物なのだから、ここで脇役というのはどうなのだろう?
一応、映画の作りとしては群像劇といってもいいだろう。現在、バットマンが掲載されているディテクティブコミックは、このバットマンに近いかもしれない。各キャラクターがバットマンの代わりに主人公となり、群像劇として描かれている。
ただ映画でしかもバットマンの活躍を見に来たお客に対して、アメコミ・ヒーローの群像劇は当時は無理があったと思う。
ジャスティス・リーグのような群像劇として作られているという内容ならばまだ許せたが、バットマンメインの群像劇は、主役がかすみすぎだ。
ただバットマンには実に多くの敵と仲間がいる。スーパーマンは1人で事件を解決できる力があるが、バットマンはファミリーと呼ばれるほど仲間が多い。それを活かしきれてはいないが活かそうとしているのは、面白かった。
ドラマ版へのオマージュは後にドラマ版の映画を見てすぐに理解できた。派手な演出、大げさなやりとりなど、まさしくドラマ版を意識している。
この作品、もう少し手直しすれば最高のバットマン映画になったと思う。
ただそれには3時間、あるいは前後編が必要になることだろう。
ちなみにこれが成功していればシリーズ5作品目も考えられていたそうだ。監督は続投で脚本家が変更になり、スケアクロウがメインヴィランとなって、毒ガスで引き続き続投するバットマンとロビンの心にジョーカーを出現させるという筋書きで、ハーレイクインはジョーカーの娘に設定を変更したそうだ。
しかし結果が結果だけに5作目は打ち切り。後にバットマンの後継者の話バットマンフューチャーとバットマンイヤーワンを映画化する話が持ち上がり、ティム・バートンが最初に描いたバットマンのダークな部分を描こうとしたそうだ。
が、結果はしばらくバットマンシリーズは打ち止めとなり、この原案が後のダークナイト三部作に引き継がれることとなる。
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