映画おすすめ 立喰師列伝|映画レビューズ
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映画おすすめ 立喰師列伝
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押井守監督が描き出す、戦後から現代にかけての、歴史総括

「立喰師列伝」

評価:★4,3

・映画おすすめ 物語


戦後、闇市に現れた一人の男。

月見の銀次なるその老人は、閉店前の蕎麦屋に来店すると、月見そばを注文する。

「いい景色だ」

というと、店主は「たかがそばじゃねぇか」と返す。

しかし月見の銀次は店主の言葉をよそに、卵を崩し、一気にそばをすする。

それを見た店主は敗北感を感じるのだった。

時代は安保闘争の時代、国会議事堂の前にある立ち食い蕎麦屋に目の覚めるような女現れる。

ケツネコロッケのお銀と呼ばれる女は

「ケツネコロッケ、コロッケも欲しいな」

と言いどんぶりを重ねていく。

それで金を払う気がない。

店主がお銀に詰め寄るも、女は開き直り、「女の立喰師は若い時が命じゃないか」と言いながら、踵を返し消えていくのだった。

この物語は物語として形をなしてはいない。

研究資料を基に物語が語られるという形になっている。



・映画おすすめ 感想


押井守監督が作った映画の中でも、特出すべき映像の映画である。

本作は実写の写真を撮り、それを3DCGの人形に貼り付け、うすっぺいら人形として作中で動かしている。

しかしその映像は手作りの人形とは質感が違い、まさしく押井守監督しか出せない質感のアニメとも実写ともいえない映像となっている。

物語もほぼナレーションと架空の民俗学者の資料から引用したり、押井守監督がライフワークとしてきた本作が引用されたこれまでの作品から引用されたりして、戦後から現代にかけて、立喰師という架空の人物を通して、歴史を総括するものになっている。

また出演者も、各界を代表するクリエイターが登場しており、本来は裏方である名だたる人々が、立喰師として、一般民衆、強盗などに扮している。

押井守監督は日本の映画界でも鬼才の監督であり、さらにその中でも本作は押井節が詰め込まれた映画であり、ファン以外には響かないかもしれない。

それでも本作は押井守監督の映像美、いい意味でのくどさがある映画である。

興味を少しでもある人は見てほしい映画である。



原作・脚本・監督 - 押井守
エグゼクティブ・プロデューサー - 牧田謙吾、磯貝昌彦
企画 - 大野修一、菅谷洋一、正岡篤
プロデューサー - 久保淳
演出・撮影・編集 - 湯浅弘章
音楽 - 川井憲次
音響演出 - 若林和弘
ガンエフェクト・スーパーバイザー - 納富貴久男
ガンエフェクト - BIG SHOT、近藤力、田渕寿雄
エンディング曲 - 「灰色の花びら」兵藤まこ 作詞・児島由美 作曲・川井憲次
制作 - デイズ


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