前々回のブログ 映画おすすめ わたしは光をにぎっている
前回のブログ 映画おすすめ Chez le barbier 1896年
法律が女性の権利をはく奪する
「見えない存在」
18歳になるエリーは、学校の授業をつまらなそうに聞いていた。
学校が終わり、買い物をして、バスに乗り、家に帰りベッドで眠る母がつけたテレビを消し、自分の食事を作り、無言で食べて、テレビをつけたままソファで眠る。
翌日、学校で昼食中に親友から、なにかあった、と聞かれるが無言のまま。
学校が終わり働いている動物病院に向かい、そこで仕事をする。
終わって帰る途中で待ち合わせた同じ動物病院で働く男と待ち合わせ、車を走らせる。
人の目のないところで車の中でセックスをして、無言のまま家に帰る。
彼女は妊娠していた。
生理が3週間来ないことで、妊娠を確信する。
病院で見てもらって、とアドバイスされるも、病院にはいかない。
産むしかないアルゼンチンの法律。
しかし違法中絶のやり方はいくらでもあった。
親友に相談し、薬で中絶すべく、処方箋がなくても売ってくれる薬局を探し、エリーは薬を手に入れるも、飲むことをためらう。
やがて子供の父親である動物病院で働く男に、子供ができたことを伝える。
男には妻子があり、中絶には賛成していた。
男が探し出したのは、闇で中絶を行う施設だった。
病院で行われるのと同じ施術をする施設であったのだ。
産むことはできない。
母は職場でのトラブルでふさぎこみ、家から出ることもおっくうになり、経済的に子供を育てる余裕も、子供を産む覚悟もない。
ただ中絶する勇気もでなかった。
本作はセリフがほとんどない映画である。
まるでドキュメンタリーのように描かれる、少女の妊娠と中絶のできない世界、中絶する勇気がでない心情。
俳優の表情だけでそれらを語っている映画である。
母親は鬱病に似ている症状で、家計を担っている少女の日常で、突然、妊娠が発覚する。
そこにドラマ性もなければ驚きもない。
ただ鬱々とした空気だけが流れていく。
そして女性の中絶する権利のない世界で中絶するということ。
また中絶へのためらいと恐怖。
鬱々とした空気感の中でそれがひしひしと伝わってくる映画であった。
ちなみに2020年の12月に、アルゼンチン議会は人工妊娠中絶の法案を可決している。
妊娠14週目までならば病院で処置してもらえるようになったのである。
これはアルゼンチンの歴史に残る大きなニュースであり、女性の権利が認められた瞬間のように思える。
前回のブログ 映画おすすめ Chez le barbier 1896年
法律が女性の権利をはく奪する
「見えない存在」
評価:★4,2
・映画おすすめ 物語
18歳になるエリーは、学校の授業をつまらなそうに聞いていた。
学校が終わり、買い物をして、バスに乗り、家に帰りベッドで眠る母がつけたテレビを消し、自分の食事を作り、無言で食べて、テレビをつけたままソファで眠る。
翌日、学校で昼食中に親友から、なにかあった、と聞かれるが無言のまま。
学校が終わり働いている動物病院に向かい、そこで仕事をする。
終わって帰る途中で待ち合わせた同じ動物病院で働く男と待ち合わせ、車を走らせる。
人の目のないところで車の中でセックスをして、無言のまま家に帰る。
彼女は妊娠していた。
生理が3週間来ないことで、妊娠を確信する。
病院で見てもらって、とアドバイスされるも、病院にはいかない。
産むしかないアルゼンチンの法律。
しかし違法中絶のやり方はいくらでもあった。
親友に相談し、薬で中絶すべく、処方箋がなくても売ってくれる薬局を探し、エリーは薬を手に入れるも、飲むことをためらう。
やがて子供の父親である動物病院で働く男に、子供ができたことを伝える。
男には妻子があり、中絶には賛成していた。
男が探し出したのは、闇で中絶を行う施設だった。
病院で行われるのと同じ施術をする施設であったのだ。
産むことはできない。
母は職場でのトラブルでふさぎこみ、家から出ることもおっくうになり、経済的に子供を育てる余裕も、子供を産む覚悟もない。
ただ中絶する勇気もでなかった。
・映画おすすめ 感想
本作はセリフがほとんどない映画である。
まるでドキュメンタリーのように描かれる、少女の妊娠と中絶のできない世界、中絶する勇気がでない心情。
俳優の表情だけでそれらを語っている映画である。
母親は鬱病に似ている症状で、家計を担っている少女の日常で、突然、妊娠が発覚する。
そこにドラマ性もなければ驚きもない。
ただ鬱々とした空気だけが流れていく。
そして女性の中絶する権利のない世界で中絶するということ。
また中絶へのためらいと恐怖。
鬱々とした空気感の中でそれがひしひしと伝わってくる映画であった。
ちなみに2020年の12月に、アルゼンチン議会は人工妊娠中絶の法案を可決している。
妊娠14週目までならば病院で処置してもらえるようになったのである。
これはアルゼンチンの歴史に残る大きなニュースであり、女性の権利が認められた瞬間のように思える。
監督
パブロ・ジョルジェッリ
脚本
マリア・ラウラ・ガルガレーラパブロ・ジョルジェッリ
出演者
モラ・アレニージャス
ディエゴ・クレモネージ
ポーラ・フェルナンデス・ムバラック
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