第104号「深夜食堂」
「寄り道したい夜もある」
テレビからの映画という流れが昨今、流行となっている。一時期などドラマの映画版が続編を重ねていた。
正直、私はそうしたドラマの映画版にあまり好意的なほうではないと思っている。
しかしだ。この映画だけは許したくなる。
ドラマ版は毎回、深夜食堂を舞台に、繁華街や夜の街、世間に顔向けできない人など、人間味がある人々がドラマを紡いでいく。
物語は1話完結ながらも、その後、別の物語で結末が出てくるなど、演出的に満足できる構成になっている。
またハッピーエンドの物語ばかりではなく、悲しい結末を迎えるもの、咀嚼できない、モヤモヤとした気持ちが残る物語も多い。
私は「ベーコンのトマト巻き」の話が妙に心に突き刺さっている。
漫画家としてデビューしたものの、結婚して、漫画家として活動していたが売れず、深夜食堂を後にする彼の後ろ姿。彼は漫画家を完全に止めたわけでも、売れたわけでもなく、もがき、苦しむ姿が描かれて終わっていく。
やるせなくも、こうした漫画家は星の数いるのだろう、と辛くなってくる。
そしてこの映画版である。
ゲストに多部未華子さんを迎え、その後レギュラーとして定着し、続編の映画やドラマにも登場している。
そしてなんといっても私がドラマと映画を通して気になるのが、ヤクザの竜ちゃんが必ず注文するタコさんウィンナーだ。
赤いウィンナーをタコの形に切って焼く。これだけのことなのに、どうしてタコさんウィンナーはこんなにもおいしいのだろうか。
ドラマ、映画ともこの場面だけを繰り返し見てしまう。
ドラマ、映画とも飲みながらゆっくりと見てしまう、そんな中毒性のある映画である。
「何か忘れ物をした気がして寄り道したくなる夜もある」
深夜食堂、行きたいなぁ。
原 作:安部夜郎
監 督:松岡錠司
出演者:小林薫
オダギリジョー
多部未華子
高岡早紀
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