第102号「猿の惑星ライジング」
1968年、世界に衝撃を与える映画が製作された。
第1作目の「猿の惑星」である。
主演俳優は超大作映画の大スター、チャールトン・ヘストンであり、それが更に話題性をよんだ。
物語は宇宙飛行士たちが地球を離れた後、不可思議な惑星へ不時着する。
その惑星では原始人のような生活をする人間とそれを奴隷のようにして扱い、人間のように暮らす猿たちがいた。
猿たちに奴隷として扱われる主人公だが、猿の中にも人間を奴隷としてではなく扱う者もおり、最終的には恋に落ちた人間の女性と共に、主人公は馬に乗って旅に出る。
そしてそこが地球であるという衝撃の真実を突きつけられて、物語は終了するのであった。
この終わり方はあまりにもショッキングであり、ここからこの映画はシリーズとして続くこととなる。
続く「続猿の惑星」では、猿の文明の他に地下で生活する地底人が登場し、争いの末に地球は消滅を迎える。これもまたあまりに衝撃的な終わり方であった。
その後「新猿の惑星」「猿の惑星征服」「最後の猿の惑星」と続き、シリーズは1度ここで終了を迎える。
その後、2001年に新たに物語を再構築した映画が公開されるも、これは単発で終了してしまう。
しかしこの再構築版は原作にもっとも近い終わり方、地球に帰還した主人公の前に現れるのは、人類の文明そのままに人間が猿に変わった世界という終わり方であった。
そして2011年、再びシリーズ化のプロジェクトとして新たな映画「猿の惑星ジェネシス」が公開された。
これまでの宇宙飛行士が主人公ではなく、現代の世界で猿の遺伝子実験をしていた青年が、実験中止を言い渡されるも、小さい小猿を家に連れ帰り、親代わりに成長させ、最後は猿たちのリーダーになるまでを描いている。
そして2014年に公開された本映画では、人類が猿ウィルスによって激減し、文明も崩壊した世界が舞台となっている。
物語は冒頭、猿たちばかりのシーンが続く。作中でも猿だけのシーンが多用されているので、感情移入できるかで感想は分かれるかもしれない映画になっている。
前作で猿のリーダーとなったシーザーは、森で自らの群れを率い、原始的ではあるが高度な猿の文明を築いていた。
そんな森へある日人間がやってくる。
ロサンゼルスに生き残った人々がシェルターを構築、そこへの電力供給のため、猿たちの集落の近くのダムを再開する目的であった。
が、言葉を話し、馬にまたがる類人猿と人間が共存できるはずもない。
物語は胸が詰まる方向へところがっていく。
少し個人的な感想になるのだが、人類が未だに差別、民族紛争を繰り返す世の中にあって、万が一、猿のようなまったく別の種族が現れたとしたとき、きっとこの映画と同じことが起こるのだろう。
物語冒頭で6人ほどのグループが猿の集落へと招かれるのだが、その6人ですら口論してしまう。
そんな人類が猿と仲良くできるはずもなく、猿たちと対立してしまう。
シーザーと彼を助ける人間、マルコムは互いに共存できると考え、近づこうとするが、周りはそうではない。
2人の思いは砕かれ、悲惨な未来を暗示して、物語は終結する。
三部作の第二部ということだから、最後にはこの思いが結実することを、願いたくなる映画であった。
原 作:ピエール・ブール
監 督:マッド・リーヴス
脚 本:リック・ジャッファ
キャスト:アンディー・サーキス
ジェイソン・クラーク
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