これは狂気か純愛か
「追悼のざわめき」
評価:★4.8
・映画おすすめ 物語
女性を襲っては女性の性器と子宮を奪う誠は、廃墟ビルの上に住み、名前を付けたマネキンに奪った生殖器を埋め込んでいた。
そしていつか自分たちの子供ができると信じていた。
誠は小人症の兄弟が経営する下水掃除会社に就職し、下水処理を行う。
そんな兄妹には、年に一度、妹を思って親が遺言を残していた。
誕生日に兄が妹を性的になぐさめてあげる。
誠はそれを目撃するも、その家で飼っていた文鳥を放つのだった。
誠の住む廃墟は謎の力を持ち、そこには変な連中がよってくるようになる。
時空がゆがんだのか、敗北した兵士が道端で楽器を演奏していた。
そんな廃墟に若い兄妹がやってくる。
妹は亡き母の面影をマネキンに重ねていた。
そんな妹を見て兄は性的興奮にかられ幼い妹を犯すのだった。
妹は出血多量で亡くなってしまい、兄はきれいな妹の体を土の中に埋葬するのだった。
その直後、小人症の妹は兄を殺し、大人のおもちゃをもって、町をさまよい始める。
すべてが狂い、何が真実なのか分からなくなっていく。
・映画おすすめ 感想
アングラ映画の頂点ともいわれている映画である。
本作の監督は寺山修司監督の「田園に死す」に感銘を受け、映画監督になり、寺山修司を師事していたほどの人物である。
本作を見ていると、アングラを詰め込んだ、という感じがすごく伝わってくる。
禁忌を犯している様子が多分に描かれ、人を愛せない主人公の一人、誠はその時代の若者の象徴だったのかもしれない。
また廃墟ビルの屋上を本当に燃やしたことによる、消防の現場検証の様子や、小人症の女性が女子高に押し入るシーンなどは、きっと打ち合わせはないのだろう。
打ち合わせ無しで現場のハプニング感をフィルムに収める。
ヌーベルバーグの手法も取り入れた、凄まじい映画になっている。
本作は世界各国の映画賞に出品するはずが、検閲に引っ掛かり、技師が嘔吐するなどのエピソードのある凄まじい映画である。
これは歴史に残る映画である。
監督 松井良彦
脚本 松井良彦
製作 安岡卓治
出演者 佐野和宏
音楽 菅沼重雄
撮影 手塚義治
村川聡
井川義之
編集 高島健一
緒方達也
鐘門律知
佐々木宏
製作会社 欲望プロダクション
映画観るなら<U-NEXT>
映画観るなら<U-NEXT>
PR
映画ランキング
コメント