"時代劇"カテゴリーの記事一覧
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前々回のブログ 映画おすすめ 大巨獣ガッパ
前回のブログ 映画おすすめ フロンティアシーン 1895年
雪女の伝説
「怪談雪女郎」
評価:★4,2
・映画おすすめ 物語
ある地方では雪深い山奥に雪女が住むと言われ、姿を見た者は氷漬けにされ、殺されるという言い伝えがあり、山に近い集落では雪女を信じていた。
ある仏師とその弟子与作は、高名なお寺に観音を納めるべく、それを掘る木を探していた。
雪深い山奥に入り、二人はとうとう観音様を掘るにふさわしい巨木を発見する。
だがその帰り道、吹雪にあい、山小屋で一晩を過ごすことになってしまう。
師匠は巨木を見つけたことが嬉しく、酒を飲み吹雪も祝いの音に聞こえる、と言って寝込んでしまう。
与作はそんな師匠に藁の河童をかけて、自らも焚火を絶やすことなく、眠りにつこうとしていた。
そこへ突然、山小屋の木戸が開き、女が入ってきた。
入ってくるなり、山小屋の中は凍り付き、焚火も消されてしまうのだった。
雪女であった。
雪女は師匠を凍り付かせ、殺し、与作を殺そうとするが、まだ若く美しい、という理由から与作を見逃すことにする。
ただし雪女を見たことは誰にもは話してはならない、と言い置きその場を去っていくのであった。
村の連中に発見された時、与作は凍え死ぬ寸前であり、育ての親である師匠の女将さんに解放されながら、回復していたのであった。
そして亡き師匠と見つけたあの巨木が村にやってきたのだった。
しかし仏師の弟子である自分に観音様の仕事が任せられたものの、そんな自信を持てずにいた。
そんな時、家の軒先で雨宿りする美しい女性と出会う。
名前は雪。
女将さんが家の中へ入れてやり、そのまま与作と恋に落ちた雪は、祝言を上げるのであった。
ただし、雪は炎を極端に嫌うのであった。
五年後、二人には太郎という男の子ができていた。
・映画おすすめ 感想
時代劇の大映らしく、時代劇で見せる。
日本のクラッシックモンスター、妖怪である雪女を、堂々と映画化できるのは、やはり時代劇を得意としていた大映だからこそできたことであろう。
長谷川一夫、市川雷蔵、勝慎太郎などの大スターは配役されていない、大作の大映としては小規模なほうの分類に入る映画なのだろう。
時間も一時間二十分と見やすい上映時間であり、回転率をよくしたかったのか、二本立ての一本だったのかは不明だが、美しい雪と雪女が同じ女優さんなのに、ここまで違う風に見えるものかと、驚くほど違う。
物語としては、雪女と人間の男の悲恋を描いている、王道の物語ではある。
凍る演出もなかなか見事であり、見ごたえのある映画だったと思う。
大映の黄金期、こういう小規模な映画でも、クオリティが高い。
監督 田中徳三脚本 八尋不二製作 久保寺生郎 (企画)出演者 藤村志保音楽 伊福部昭撮影 牧浦地志
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前々回のブログ 映画おすすめ ザ・ファブル 殺さない殺し屋
前回のブログ 映画おすすめ 水族館 1895年
真実に基づいた映画
「JOGI‐街が炎に包まれた日‐」
評価:★3,9
・映画おすすめ 物語
インドに複数ある宗教の内、シク教の過激派がテロなどを起こしており、その拠点となった黄金寺院をインド首相の命令でインド正規軍が鎮圧したブルースター作戦は、過激派の衰退を招いた代わりに、多くのシク教信者の反感をかった。
1984年、ジョギは家族と共に食事をとり、普通の朝を迎えていた。
公務員のジョギは父とバスに乗るため、家を出た。
その直後である。
インドの首相がシク警官に暗殺される事件が発生した。
これにより他の宗教でシク教過激派がこれまで行ってきたテロ行為への不満が爆発し、ジョギと父がバスに乗ると、シク教のマークであるターバンを見るなり、暴行を受け、バスから放り出されてしまう。
この時、インド各地でシク教への弾圧が始まり、シク教徒が住む地区が焼かれるなどの被害が出ていた。
ジョギも父と一緒に、暴徒たちに襲われる中、仲間のシク教徒たちが倒れていくのを見ながら、逃げるしかなかった。
そして逃げかえると、家族が沈鬱な顔でジョギを迎えた。
妹の旦那で義理の弟が経営する商店ごと火あぶりにされ、殺害されていたのだった。
シク教徒たちは近くの寺院に集まり、暴徒たちの襲撃をさけようとしていた。
その頃、ジョギの住む地域を管轄する警察署には高官が出向いてきて、捕まえた暴徒たちを解放し、さらに警察官たちにシク教徒を殺害した者に報奨金を出すと言い出したのであった。
ジョギの親友でもあり警察官のラウィンダーは、宗教は違うがジョギに危険を知らせに来るのだった。
戦うつもりでいたジョギは寺院に集まった人々を逃がすため、さらに別の親友のところへ向かい、トラックを調達するのだった。
荷台に箱を作り人々を入れ、その上にシク教徒を弾圧する物資をわざとおいて、ごまかしながらシク教徒を保護してくれる軍隊がいる地区へと、ジョギとラウィンダーは車を走らせるのだった。
・映画おすすめ 感想
宗教とは救いにも毒にもなる。
本作は本当に起こったブルースター作戦からシク教徒が暴徒に襲われる事件と、それを軍隊が鎮圧するまでを描いている。
ジョギという人物が本当にいたのかは定かではなく、ここに描かれたドラマチックな逃走劇が本当にあったのかも分からない。
ただこの事件が起こったことにより、過激派が起こしたテロで家族や友人、最愛の人を失った暴徒たちが攻撃の意思がないシク教徒たちを襲ったのは間違いないことであり、多くの人が犠牲になったことだろう。
だがこの迫害事件の後もシク教徒の過激なテロ行為は収まることはなく、航空機へのテロ事件なども起こっている。
90年代になり、ようやくシク教徒に平和が訪れるまで、シク教徒と他の宗教との溝は深まるばかりだったようだ。
神秘の国インドにも、激動の時代があったことを、この映画で始めた知ることができた。
監督アリ・アッバス・ザファル出演ディルジット・ドゥサンジクムド・ミシュラーモハメッド・ジシャン・アユップ
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前々回のブログ 映画おすすめ エンドレス・ラブ~17歳の止められない純愛~
前回のブログ 映画おすすめ オリックスの散歩 1887年
そこは金がすべての国だった
「忍びの国」
評価:★3,4
・映画おすすめ 物語
伊賀の国では小さい小競り合いが続いていた。
下山の城を百地が攻撃する小競り合いが続く中、下山の長男平兵衛は、無益なことばかりするこの生活にうんざりしていた。
そんな中、伊賀随一の手練れ、無門は下山の次男を殺せと命じられ、金を出す、ということで喜び戦場へ出かけていくのだった。
「川」という一騎打ちが始まると平兵衛は無門の力量をしっているからこそ、弟の身を心配してやめるように言うが、弟は無門と一騎打ちをする。
案の定、無門の勝ちで一騎打ちは幕を閉じ、誰も平兵衛以外は弟の死を悲しまなかった。
実の父である下山の頭ですらも。
そのころ、天下は織田信長の勢いが止まらず、伊賀の国はぐるりと囲まれていた。
隣国である伊勢の国の北畠家では、無理やり信長の息子信勝を婿に差し出され、北畠家当主は娘を無理やり嫁がせていた。
そんな中で信勝は北畠家当主の斬首を命じ、元家臣の左京亮が織田家への忠心を見せるべく、刃を抜くのだったが、同じく北畠家から織田家へ出奔していた大膳は手を貸さなかった。
しかし左京亮が危うくなった時、抜刀し、元の主君をその手にかけてしまうのだった。
このことから大膳は信勝を怨み、遺恨を残したまま、話は伊賀の事へと移っていく。
伊賀は使者として下山平兵衛を出すと、平兵衛は伊賀は人の国にあらず、伊賀攻めをしてほしい、とあえて伊賀攻めを進めるのであった。
だが、伊賀の十二家が集まった評定の場において、伊賀は織田家に屈する、ということが決まり、織田家の城を伊賀領内に、伊賀の人員を雇って建築することにする。
金さえもらえればなんでもやる伊賀の下忍たちは、素早く城を組み立てるのであった。
その中には無門もおり、必死に金を運んでいるところがあった。
無門は武家の娘に恋をし、誘拐してきていた。
ところがその娘、お国は四十貫を稼ぐ男でないと、夫婦の契りは結ばない、と家に入れてくれなかった。
だから無門は必死に金を稼いでいた。
織田の城は完成した。
だが伊賀者は城を爆破し、せっかくの城を破壊してしまったのであった。
これは織田家を退けた、という事実が伊賀には欲しかっただけだった。
忍びは使える主君がいなければ、下忍たちが稼ぎにならない。
そこで天下の織田家を退けた、という事実を天下に知らしめ、全国の反織田の大名たちから雇ってもらう、収入を欲するための策略だったのだ。
これに気付いた大膳、平兵衛は、自分たちが伊賀の手の中で踊らされていたことを律し、信勝と共に伊賀攻めを行うことを決意するのであった。
ところが伊賀の方では、金にならない戦はしたくない、とほとんどの下忍が逃げ出してしまい、その中には無門とお国の姿もあった。
無門は北畠家の姫に天下の茶器を渡され、これで織田信勝の首を断ってほしい、と最後の願いを託されていた。
だがそれでお国と二人で京で商売を始めるつもりでいた。
ところが、子供が戦場に行く姿を見て、お国は無門にそれでも男か、と叱咤し、戦場へ送り返すのであった。
無門は茶器で大将首に賞金を懸け、それ目当ての下忍たちが獣の如く、戦場に戻ってくるのであった。
・映画おすすめ 感想
忍者物が大好きな管理人にとって、ちょっと違和感のある忍者物であった。
まず、忍者とは当時の身分制度としては下級であり、そのさらに下、下忍となれば生活は農民と変わりなかったであろうことからも、本作は下剋上ものとして見ることができた。
そんな中で伊賀天正の乱を扱ったことからも、伊賀、最大の戦いであることは確かなのだが、なにか規模感に欠ける映画であった。
内容としては、今、現代に合わせた風になっているのだろうが、山田風太郎の忍法帖シリーズのファンである個人からすると、やはり現代に話を寄せている分、時代劇としての重みがなくなってしまっているように思えた。
また金の亡者である伊賀の忍者を卑しい者、として描いているところがあるが、当時としてはそれが普通であり、だからこそ伊賀は鬼が住む、とまで言われた国であり、忍者とは身内であっても犠牲にするものだという認識があるせいかこの物語を、受け入れられない自分がいた。
また最後の部分も主人公がかなり身勝手に見えてしまい、結局、大切なものを失って初めて、伊賀の国がけだものの国に見える、という最初と最後がリンクすることになり、そこはよいとして、身勝手にどうしても見えてしまった。
時代劇が苦手な人にはピッタリな作品かもしれない。
悪く言えば時代劇らしくなく、よく言えば今の映画として見やすい。
なので、時代劇が苦手、あるいは時代劇は見ない人におすすめできる映画ではある。
監督 中村義洋脚本 和田竜原作 和田竜『忍びの国』製作 原藤一輝辻本珠子下田淳行藤井和史製作総指揮 藤島ジュリーK.ナレーター 山崎努出演者大野智(嵐)石原さとみ鈴木亮平知念侑李(Hey! Say! JUMP)マキタスポーツ平祐奈満島真之介でんでんきたろう立川談春國村隼伊勢谷友介
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狂犬は静かに狙われる
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
評価:★4,4
・映画おすすめ 物語
1920年代、ある兄弟は大きな牧場を経営していた。兄のフィルはカリスマ性と威圧的な態度から、雇った荒くれもののカウボーイたちを仕切っていた。弟のジョージは対照的に大人しい性格で、物事をあまり口にする男ではなかった。そんなジョージがローズという未亡人と結婚する。近くの町のレストランで働く女性で、ピーターという男の子がいた。牧場で一緒に暮らすことになったローズは、義理の兄フィルの態度があまりに嫌味であり、次第に酒に逃げるようになる。ピーターもフィルに邪険にされていることは明白だった。ある日、ピーターは森を散策中、小さい小屋を見つけ、その中で男性の裸体の写真ばかりが詰まった箱を見つけてしまう。近くにはフィルがおり、彼は激しくピーターを叱責し、その場から追い出してしまう。フィルはゲイだったのだ。その頃から次第にフィルはピーターと距離を縮め、カウボーイの基礎をたたき込み始める。それを見ているローズは気がきでなく、ますます酒浸りの生活を送るのだった。しかしこの物語は意外な結末をむかえることになる。・映画おすすめ 感想
カウボーイを扱った西部劇の人間ドラマ。ベネディクトカンバーバッチが演じる厳しく、しかしカリスマ性のなる男は、見る人からするとものすごく嫌悪感を抱く人物かもしれない。そんな彼が選んだピーターは次第にフィルになる居ているように見える。個人的にもこのまま少年は叔父の意思を継ぎ、カウボーイの道を目指すのではないかと思った。しかしこの物語の細部にちりばめられたパズルを解いていくと、ピーターという人物がどういった人間なのかが見えてくる。その人間性が見えた時、この物語の本当の姿が垣間見えると思う。この映画の本当の主役は少年なのだ。監督 ジェーン・カンピオン脚本 ジェーン・カンピオン原作 トーマス・サヴェージ(英語版)製作 エミール・シャーマン(英語版)イアン・カニングロジェ・フラピエ(英語版)ジェーン・カンピオンタニヤ・セガッチアン(英語版)出演者ベネディクト・カンバーバッチキルスティン・ダンストジェシー・プレモンスコディ・スミット=マクフィー
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彼らには彼らなりの正義があった
「動乱」
評価:★4,5
・映画おすすめ 物語
軍人宮城は青年将校たちを預かる身であった。そんな青年将校の1人が脱走してしまう、実家に行くとそこで自決を強要された青年は、軍曹を逆に撃ち殺してしまう。青年将校は死刑判決が決まり銃殺され、宮城が実家へ遺体を運んでいく。そこで青年の姉、薫と知り合いになった。青年将校の事件を受け、宮城も責任をとり、朝鮮の国境警備隊として異動となり、そこで女郎となった薫と再会する。言い争いになった2人。薫はその後、自殺を試みるが失敗に終わり、宮城がその身柄をひきとるのであった。物資を請求しても届かない前線で、宮城は軍部に憤りを感じ、憤慨の手紙を軍部に送るのだった。その後、日本に帰ってきた宮城と薫は一緒に住むようになり、青年将校たちとの決起の話が色濃くなり始めていた。先の五一五事件で軍部は二分し、皇道派と保守派が対立していた。皇道派の宮城は貧乏人の軍閥の間のあまりの生活の差に憤り、次第に決起への心が固まり始めていた。そんな中で薫との関係に踏み切れない自分もおり、宮城は苦悩する。・映画おすすめ 感想
歴史がどう見ているのか分からないが、映画は素晴らしい。主演に高倉健、吉永小百合を置いた、歴史群像劇である。五一五事件から二二六事件までを描いたこの物語は、国を思う男の苦渋の決断であり、それが国を変えると信じていた。しかし当時は反乱軍として処罰され、歴史はこの事件をクーデターだとしている。だが実際にどういった人物がこの事件を起こし、どういった気持ちで死んでいったのか。個人的にはわからない。ただこの映画を見る限りでは、そこに国への憂いと正義は確かにあったと思えた。監督 森谷司郎脚本 山田信夫製作 池田静雄坂上順岡田裕介ナレーター 佐藤慶出演者高倉健吉永小百合米倉斉加年桜田淳子志村喬田村高廣 -
復讐の旅の末
「無頼の群」
評価:★4,1
・映画おすすめ 物語
4人の男が小さい町で絞首刑になることになった。町はよそ者を嫌い、処刑人だけを町に入れるよう、保安官は部下に指示をだしていた。その町に1人の男が現れる。ダグラスと名乗ったその男は処刑を見に来たという。犯罪者に合わせてもらった時のダグラスの目つきは、尋常なものではなかった。なにかある。保安官はそう感じていた。その夜、お祈りのため皆が教会に集まった時、実は偽物だった処刑人が保安官に痛手を負わせ、4人の犯罪者は脱獄してしまうのだった。ダグラスは町の者たちに遅れながらも4人を追いかける。妻を殺した復讐のために。・映画おすすめ 感想
グレゴリー・ペックの凄み。アメリカで制作された西部劇だけあって、やはり金がかかっている。主演のグレゴリー・ペックは紳士の牧場主ながらも、犯人たちを見据える目は鋭く、本当に威圧的であった。そこに名優の凄みを感じた。物語はただの復讐劇と思いきや、思いもよらない展開に最後はため息が漏れてしまう。監督 ヘンリー・キング脚本 フィリップ・ヨーダン原作 フランク・オルーク(英語版)『The Bravados』製作 ハーバート・B・スウォープ・Jr出演者グレゴリー・ペックジョーン・コリンズ
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兄貴の仇を探して
「スペシャリスト」
評価:★3,4
・映画おすすめ 物語
西部開拓時代。ハットと呼ばれる凄腕のガンマンは、町を渡り歩き、その凄腕を知らしめていた。ハットはブラックストーンという町を目指していたことを、誰もが知っていた。ブラックストーン。そこはハットの兄がリンチされて殺された町。そしてハットの兄が銀行の金を盗んで隠した町。ハットはその真相を知るため、ブラックストーンに向かう。対する町の名士たちは、ハットが来ることを恐れ、保安官に縋り付いていた。こうしてハットの復讐劇が幕を開ける。・映画おすすめ 感想
マカロニウェスタン。個人的にマカロニウェスタンにそこまで詳しくない管理人をして、この作品は面白い。孤高のダークヒーロー。小汚い悪党。美しき悪女。悲壮感あるヒロイン。どれをとってもマカロニウェスタンの王道ではないだろうか。復讐劇という分かりやすいシナリオなので、西部劇が苦手な方にもお勧めしたい。最後のシーンはただただかっこいいの一言に尽きる映画である。監督セルジオ・コルブッチ脚本セルジオ・コルブッチサバティーノ・チュフィーニ出演者ジョニー・アリディガストーネ・モスキンフランソワーズ・ファビアンマリオ・アドルフセルジュ・マルカン -
海の怪物は本当にいたのか
「白鯨との闘い」
評価:★4,3
・映画おすすめ 物語
作家のメルヴィルはトーマスという老人と訪ねていた。トーマスは白いクジラを見たエセックス号最後の生き残りながら、けして誰にもそれを語ることはなかった。しかしメルヴィルの説得で、ようやく重い口を開く。それはトーマスがまた若かった頃、血気盛んなオーウェンは、船長になる約束を受けていた。だがエセックス号の船長になったのはジョージという若い初めて船長を務める男であり、オーウェンは不服ながら一等航海士に甘んじていた。一行は小さいマッコウクジラの油しか入手できず、このままでは帰れないと考え、途中で寄った港で聞いた海域にマッコウクジラの群れを探して航海する。そこには確かにマッコウクジラの群れがいた。が、その群れを率いる巨大な白いクジラは、人間の考えを先読みし、船を破壊するのだった。ここから船員たちの地獄の遭難の日々が始まる。・映画おすすめ 感想
白鯨との闘いは意外とすぐない。個人的に白鯨は昔から大好きな物語の1つで、それを元にした映画であるから、もちろん白鯨との闘いが見られると思っていた。ところが映画の大半が、遭難の恐怖であり、鬱々とした時間が過ぎていく。爽快感を求めると、肩透かしを食らう映画である。監督 ロン・ハワード脚本 チャールズ・リーヴィット(英語版)原案 チャールズ・リーヴィットリック・ジャッファアマンダ・シルヴァー原作 ナサニエル・フィルブリック(英語版)『復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇(英語版)』製作 ジョー・ロスポーラ・ワインスタインウィル・ウォードブライアン・グレイザーロン・ハワード製作総指揮 ブルース・バーマンサラ・ブラッドショウパラク・パテルエリカ・ハギンズデヴィッド・バーグスタイン出演者クリス・ヘムズワースベンジャミン・ウォーカーキリアン・マーフィートム・ホランドベン・ウィショーブレンダン・グリーソン
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戦国最大の合戦
「関ケ原」
評価:4,5
・映画おすすめ 物語
すでに戦いは豊臣秀吉生前から始まっていた。大名の中でも筆頭となる徳川家康は、石田三成に反感を持つ福島正則らを、言葉巧みに反三成徒党を成立させていく。石田三成は豊臣秀吉亡きあとのことを心配し、忍びを使い各大名の動きを探っていた。そして豊臣秀吉亡きあと、徳川家康は次第にその知略で各大名を味方としていく。対する三成も徳川に対抗する大名を集めつつあった。やがてそれが天下分け目の関ケ原へと、それぞれの想いを乗せて、歴史の波は動いていく。・映画おすすめ 感想
歴史好きには大満足の、近年まれにみる戦国絵巻であった。日本映画の戦国絵巻は、黒澤明監督の時代で衰退したと思っていた。しかし本作は合戦をリアルに描き、黒澤明監督すら描けなかった、泥臭さをダイナミックに取り入れている。また人間ドラマ、それぞれの大名の駆け引きも描かれ、歴史好きにはたまらない一作となっている。だが歴史好きが楽しめる一方で、歴史を知らない、歴史に興味のない人は楽しめたのだろうか。歴史好きでなくても楽しめるドラマは用意されているものの、間口は狭い映画のような気がする。監督 原田眞人脚本 原田眞人原作 司馬遼太郎「関ヶ原」製作 市川南佐野真之製作総指揮 上田太地豊島雅郎ナレーター 木場勝己出演者岡田准一有村架純平岳大東出昌大北村有起哉伊藤歩中嶋しゅう音尾琢真松角洋平和田正人キムラ緑子滝藤賢一大場泰正中越典子壇蜜西岡徳馬松山ケンイチ役所広司
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真のジャパニーズウェスタン
「EAST MEETS WESTERN」
評価:★3,9
・映画おすすめ 物語
時は幕末。アメリカ大統領の命令により、大老井伊直弼はアメリカへ使節団を派遣する。使節団は日本の軍艦とともにサンフランシスコで歓迎を受けることとなる。しかし日本の咸臨丸が修理のため、一ヶ月間サンフランシスコに停泊することとなった。その間、軍資金の三千両が地元の銀行に預けられることとなるのだが、そこを強盗団が襲撃、偶然に合わせた父子の父親が撃たれてしまい、責任者の上條健吉が強盗を追いかけた。生き残った父子の息子サムとともに、敵討ちをすることを誓う。一方で下僕として現場に居合わせた為治郎は、水戸脱藩浪士と判明した健吉を追う任務を任せられ、英語を覚えるためとそそのかされ、インディアンの娘と肉体関係を結び、行動を一緒にすることになる、こうして強盗団を追い、ワシントンで要人暗殺を狙う健吉と健吉を狙う為治郎の旅が、アメリカ大陸ではじまった。・映画おすすめ 感想
監督は言うまでもなく有名な岡本喜八監督。主演は真田広之、竹中直人と豪華な俳優陣で固められている。物語も非常に奇抜だ。幕末の日本ではなく、アメリカを舞台にした、脱藩浪人と侍になりたい忍者。この取り合わせが面白い。侍をいいものとは思わない男と、侍として死にたい男の取り合わせが絶妙で、竹中直人の好色好きの下僕が見事にハマっている。またウェスタン姿で刀を構えるという、真田広之はかっこよく当時から海外を目標にしていたことが、よく分かるほど英語も堪能である。興行的に成功したのか失敗したのか今ではわからないが、この試み、新しい時代劇を作るという意気込みは、今の映画界にかけているものなのではないだろうか。異色のウェスタン時代劇なので、賛否が分かれるかもしれない。それでも本作を是非みてほしい。
こんなことが日本映画でもできた時代があったのだと知ってほしい。
<出演>
真田広之、竹中直人、仲代達也、高橋悦史
<スタッフ>
監督:岡本喜八
脚本:岡本喜八
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Twitterトレンドでモルカーが話題になっていた。なんでも最新がサメ映画を意識した作りになっており、話題になった様子。
管理人自身はモルカーを観たことはないが、特撮界隈で人気があり、かわいい見た目に似合わず大人も楽しめる内容だということで、興味を抱いている。
映画関連のニュースでは、アメリカ映画史から消された映画、とまで言われる「マンディンゴ」がリマスター上映されるという情報が入ってきた。
黒人奴隷制度を題材にし、強烈なインパクトを与えた映画は、興行的にはヒットしたが、評論家、世論がバッシングして、ソフト化も長い間されなかったという映画だ。
日本では3月に上映を予定している。
本日の本題「利休」
映画利休は時代劇と日本映画低迷期に作られたこともあり、映画玄人しかほとんどしらない映画である。しかし漫画「花の慶次」の原哲夫は、本作を観て世界観や衣装デザインをした、というほど美にこだわった映画になっている、
・物語
織田信長が生きていた頃、南蛮人が持ち込んできた地球儀を見て、信長は陸地にはてはなくすべてはつながっていると断言した。この考えに賛同したのが千利休だった。
本能寺の変で織田信長が明智光秀に謀反を起こされて討ち死にした後、天下は誰の手中に収まるかと巷で話題となっている中、豊臣秀吉が中国大返しを見せて、天下は秀吉の手中に収まった。
利休はそれから秀吉の茶の師となり、利休の妻は秀吉の正室、茶々の茶の湯の師となった。ところが秀吉は朝鮮出兵を考えていた。その頃、秀吉の目の上のたんこぶだった徳川家康や伊達政宗は秀吉の呼びつけには応じず、千利休の茶の湯には出てくるといった具合に、秀吉には面白くないことが立て続けに起こった。しかも家康に朝鮮出兵を納得させろ、と秀吉に言われていたにも関わらず、その話はしなかった。
やがて秀吉に朝鮮出兵へ誰も賛成していないことを伝えた利休。これが秀吉との最後の茶の湯になった。
・感想
最近の日本映画では時代劇が作られることは滅多に無い。もちろん予算や人手、衣装など通常の現代劇とことなり予算がかかるので、制作会社も避けているのであろう。それでも何年かに一本、時代劇が作られる今の日本映画界。ところがどこか安っぽいセットが目立つ気がする。
映画利休を観た時、最初の感想はなんて美しい映画なのだとう、ということだった。管理人が映画に求めることはやはり剣戟なのであるが、本作にそういうシーンは一切出てこない。壮大な美、横たわる静けさ、狭い部屋のはずなのに大きく見えるセット。
何が今の時代劇と違うのか分析しようとしても、これだけ美しく作られた映画を分析しようもなく、現代の時代劇には出せない静かなる美がそこにはあった。まさしく千利休が目指した美しさがこの映画にはあったのだ。
ちなみになのだが本作に登場する茶器は、国宝に指定されているものも使われており、本物がしっかりとフィルムに焼き付いている映画になっている。
今、この映画を見れるのはUーNEXTだけであろう。この映画を配信する配信サービスはおそらくないと思われる。
この美しさ、日本人にしか分からない美をぜひとも体感していただきた。
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斬、
刀というものが当たり前にあった時代があった。人を斬り殺し、それが生業にしていた時代もあった。本作は刀を持つという事、人を斬るということがどういうことかをリアルに描き出していると感じた。舞台が江戸時代末期ともあり、その時代の死生観、その時代のリアルが描き出されているかは分からない。もしかするとそこまで特別ではなかったのかもしれない。しかし本作は刀というものを持つ意味、そして人を斬る。人の命をその手にかけるという意味を強く出した映画に見えた。塚本晋也監督は本作を20年以上かけて制作しており「野火」と両輪をなした塚本晋也監督の思想が体現した映画ではないだろうか?
価格:3,761円
(2020/12/26 17:47時点)
感想(0件)
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紀元前1万年
・感想
正直、その頃の人類がどんな生活をしていたのか、どんな人々だったのかは、歴史的発掘物から予測するしかないのだろう。
しかし間違いなく人類は生きていた。宇宙から見ればちっぽけな人間は、生きていて、愛するものを必死に守ろうとする。
人は変わっていない。人は愛する生き物だ。
本作はそれを監視させる。
・物語
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そろそろ2021年のバレンタインですね。Twitterのトレンドにも#明治のチョコが欲しいです、なんてキーワードが入っていました。
そういえば有名人にバレンタインという人は数いれど、戦車にヴァレンタイン戦車というのがあるのをご存じだろうか?
なんでも戦車の設計図を提出した日がバレンタインだったとか。
さて、今年も1人でおうちで映画ですかね。
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「T34 ナチスが恐れた最強戦車」
2018年公開のロシア映画である。
スターリンは、ドイツの猛攻に新たな戦車を開発するように命じた。
それからしばらくして機動性に優れた戦車が完成する。しかし軍部は戦車の運び出しの予定がたたず、式典で公開する予定を守るべか、開発者たちと軍人将校が800キロを走破していくが…。
戦車の活躍を描く映画はたくさんあるが、まさか開発者が800キロの走行試験をするとは思ってもなく、これが実話をもとにした映画というのは、興味深かった。
事実、第二次世界大戦でソ連軍はドイツ軍を押し返した。その主力を担ったのがT34出会ったのは事実である。
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「虞美人草」
1935年製作の溝口健二監督、夏目漱石原作の映画である。虚栄心のある女性を中心に、翻弄される男たちを描いた本作。当時の女性像とはきっと大きくかけ離れていたであろう本作の主人公は、観るものによっては傲慢にも観え、ある者には自立した考えを持つ女性に見えるかもしれない。そこには女の強さと男の弱さが描かれているように、個人的には観えた。
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「瀧の白糸」
日本映画の名匠、溝口健二が造った1933年のモノクロサイレント映画である。本作の原作は明治時代の「義血侠血」であり、本作を含め幾度も映画、ドラマ化されている名作である。舞台は金沢。女水芸人の水島友はひょんな事から東京へ行って学問を学びたいと働き続ける青年と出会う。2人はまたたく間に恋に落ち、友が融資する形で青年は東京の学校へ行き、勉学に励むのだった。友の方は旅回りの一座が冬の時期に稼げなくなり、溜め込んでいた金銭も妹分に渡すなどして底をつき、金貸しに体を売ることで金銭を手にするのだったが。本作は明治からずっと映像化されることもあり、恋を描いた普遍的テーマ。貧困の辛さなども描いた名作である。溝口健二版は当時のフィルムが破損しているなどあったものの、後の映画人たちの力で形として現代まで残っている。サイレントの良さ、世界に通用する日本の文化がこの映画にはある。
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「ロビンフッド 2010」Robin Hood 2010
注意:ネタバレ、長文リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演で描かれる、ロビン・フッド誕生までの物語。リチャード1世が十字軍でエルサレムに向かい、10年にも及ぶ長い遠征から帰る途中、各地の城を落城させながら、帰還していた。そんな中に1人の弓矢の名手、ロビン・ロングストライドが居た。彼は仲間と共に酒を飲み、賭け事をして騒いでいた。そこにリチャード王が現れ、王としての品格をロビンに問うと、ロビンは遠慮なく遠征はまだまだ続き無意味だと答える。これに満足しながらも王はロビンを含む仲間たちを拘束するのだった。翌日、フランスの城を攻めていた戦渦の中で王は命を落とす。これを知ったロビンは仲間たちといち早く戦場を逃げ出し、船でイングランドへ帰ろうとする。ところがイングランド王の王冠を運ぶ1団をフランス国王の名でまちぶせしていたゴトフリーという男たちに1団は皆殺しにされ、それを蹴散らしたロビンは、ロクスリーという騎士に王冠とロクスリー家の剣を託され、イングランドへ騎士と偽り帰り、リチャードの弟ジョンが次の王となるため、ジョンへ王冠を返すのだった。そのままロンドンを逃げ出したロビンたちは、ロクスリー家の領地へ向かい、ロクスリー家の当主ウォルターに剣を返す。しかしロングスライドという名を聞き、ウォルターは家にとどまり、本当の息子となり、未亡人となったマリアンの夫となることを勧め、ロビンはそれを受ける。自分の過去に何があったかを知るために。その頃、ジョン王の親友であるゴトフリーは、諸国の領主の領地をフランスの兵士と襲い、ジョン王との分裂を画策する。そしてフランス国王が軍隊を率いてイングランドへ向かうのだった。SF作家ハーラン・エリスンは「地球上の誰もがしる架空のキャラクターはミッキーマウス、スーパーマン、シャーロック・ホームズ、ターザン、ロビン・フッド」と言っているほど世界中で有名な義賊ロビン・フッドは、森で仲間たちと暮らし、恋人のマリアンとロマンスと冒険を繰り広げる。日本でも何度となくアニメ化され、ハリウッドでも映画化が何度もされており、2018年にも映画化されている。それほど人を引きつけるロビン・フッド。本作はその前日譚ともいうべき物語であり、ロビンはまだ義賊ではなく、イングランドのために戦う兵士として描かれ、弓矢だけで戦うのではなく、しっかりと剣を使い、フランス軍と戦う。リドリー・スコット監督はグラディエーター、キングダム・オブ・ヘブンと歴史ものには十字軍やエルサレム、騎士道、信仰などの共通点があり、本作にもそれが反映されている。冒険活劇というよりも、国のため、名誉のため、愛のために戦う兵士としてのロビン・フッド、大人のロビン・フッドとして歴史的側面からみても面白いので、大人にこそおすすめの映画である。【中古】Blu-ray▼ロビン・フッド ブルーレイディスク▽レンタル落ち
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「座頭市」
1989年公開の勝新太郎主演座頭市最終作である。監督、脚本、主演を勝新太郎がつとめ、内田裕也、緒形直人、陣内孝則、樋口可南子、片岡鶴太郎、奥村雄大など各方面のスターが勢揃いした映画になっている。物語はヤクザの抗争を座頭市が叩き斬るといった、相変わらずのあらすじながら、勝新太郎の哲学的な描写が入るなど、これまでの大映座頭市とは違う作風になっている。本作は非常に問題が多い作品であったという。松竹との契約で勝新太郎は脚本の執筆を始めたが、拘りの強い勝新太郎は幾度も脚本を最初に戻してしまい、松竹は契約打ち切りをいい出した。更にアドリブを多様する勝新太郎の現場では、それに答える機材が整っていなければならず、費用も大幅に膨れ上がった。更に勝新太郎の長男の奥村雄大に真剣を持たせたスタッフが居たらしく、それで殺陣師を誤って刺してしまい、殺陣師が死亡するという事故が発生。それでも映画製作を断行する勝新太郎の姿勢に大バッシングが起こったという。それでもこの映画にはこれまでの座頭市にはない、血での表現が非常に多く、個人的には凄い映画ができた、歴史に残ったと思っている。価格:29,338円
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「イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
2014年公開のアメリカ映画であり、実際に第二次世界大戦下で、当時、世界最高の暗号であったエニグマを解読したイギリスの買得チームとそのチームのリーダー・チューリングを描いた、真実を元にした歴史映画である。主演、ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ。注意:ネタバレ、長文1950年、チューリングという大学の教授が家に泥棒が入ったとの通報を受け、駆けつけた警察官たちは、チューリングの言動からなにかあることを疑い、捜査を開始する。チューリングは実は第二次世界大戦の際、ある特殊任務についていた。自ら軍部に売り込み、当時最高の暗号技術で開発されていた、ドイツのエニグマ暗号を自分は解ける、と豪語したのである。そこで軍部は彼を解読チームに加え、MI6も含む合同作戦でエニグマ解読を始めた。だが人力でのエニグマ解読には毎日の暗号解読を行うのに2000万時間かかることになり、チューリングはそれを非効率だと考え、自らをチームのリーダーにすべくMI6に働きかけ、当時のイギリス首相チャーチルを動かし、チューリングはリーダーとなる。そこで開発を開始した解読機とそれに合わせて、クロスワードパズルを雑誌に掲載、それを解読した者に仕事を与えるとして、人材を集めた。そこで知り合ったジョーン・クラークとは特に仲良くなり、人生で初めて女性と意気投合した。だがジョーンは両親を置いておくわけには行かず、田舎に帰ると言い出す。それを止めるために彼はジョーンに結婚を申し込み、2人は婚約するのだった。そして次第にチューリングのマシンは完成に近づくも、あまりの計算量にマシンがついていけず、解読は難航する。さらにチームの中にソ連と通じているスパイの存在も明らかになり、チューリングは追い込まれて行くのだった。やがて彼はジョーンに告白する。自分は同性愛者だと。当時のイギリスは同性愛を禁じており、彼は罪に問われることになる。しかしジョーンは「それがどうしたの」と彼の同性愛を受け入れる。しかしMI6の行動に不信感を懐き、彼女を守るため、婚約を解消するのだった。本作のメインストーリーはあくまでもドイツの最強暗号エニグマ解読に焦点が当てられているが、チューリングというイギリスが生んだ天才の人間性もしっかりと描かれている。歴史には数多くの天才が居る。レオナルド・ダ・ヴィンチ、アインシュタイン、エジソン、ホーキング、ピカソ。だが歴史に名を残してはならない、特に戦争に関わった天才たちはきっと、天才と賞賛され、時代が違って居たならば幸せになれた人もいたであろう。1950年代にチューリングは同性愛の罪で有罪となり、刑務所に入るかホルモン投与を行われるかの選択を迫られ、チューリングは自分で開発を続けていたチューリングマシンの研究をやめることはできず、ホルモン治療を受けることにした。そのせいで、思考は麻痺し、手足にも支障をきたしていた。それを支えたのは、別の男性と結婚したジョーンであり、ホルモン治療を終え、チューリングが自殺する時まで、親友であり続けたという。
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「バトルフィールド」
2014年のイギリス歴史アクション映画である。注意:ネタバレ、長文物語は中世イングランド。虐殺に虐げられていた部族は、ある日、領主の兵士を鮮やかな手並みで倒した流浪の男を部族に引き入れ、領主一族へ反撃を目論む。まずは息子たちをその手で仕留めて、次第な領主自身へ反撃の手を伸ばすのだった。そして一大決戦の日を迎えた。新進気鋭のミュージックビデオを主な舞台にしていた監督。リドリー・スコットに才能を見出され作られた本作だが、正直、いまいちというところだろうか。イングランドの歴史を舞台にしているところから、少し日本人には馴染みのないところなので入り込めないのもあるが、映像的にはインパクトがあり、新鮮なのだが物語がリアルというか淡々としているというか、これと言って引っかかるところがない。
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「リンカーン」
2012年公開のアメリカ歴史映画である。スティーブン・スピルバーグ監督制作。注意:ネタバレ、長文時代はアメリカがまだ連邦政府だった頃、北部では黒人奴隷の需要が薄まり、奴隷解放が声高に叫ばれ始めていた。しかし南部では綿花産業が盛んで人でが必要となり、安く使える奴隷制度の維持が必要となっていた。しかしこれは南北戦争のほんの1つの要因であり、様々な政治的事情から北部と南部は戦争状態に入る。戦争が始まって4年。第12代大統領、エイブラハム・リンカーンは、奴隷解放宣言をしたものの、それは戦時下での臨時的法案に過ぎず、恒久的な法律の制定をするため、議会への法改正を提案した。しかし奴隷が必要とする南部議員たちの勢力は圧倒的で、北部議員たちは劣勢にあった。また戦争が集結に近づくきこのままでは終戦と共に法案は破棄され、奴隷が再び売り買いされる時代がくる。その狭間でリンカーンは、戦争で亡くした息子たち、妻との確執、戦争の現実などを見ながら、苦労してようはく議員採決の日を迎えるのだった。アメリカ南北戦争は、どうしてもアメリカ史を学ぶ上で、奴隷解放のための戦争という簡単なくくりにされてしまうが、そこには奴隷解放はもちろんのこと、そのほかにも複雑な理由があり、北部と南部が戦争という最悪の結果に突入したのである。リンカーンはその焦点を奴隷の是非に向けさせ、さらに国内だけではなく世界の目をアメリカに向けさせることで、世界を味方につけた。私はこの映画を素晴らしいと宣言した上で、リンカーンは果たしてここまで清い人物だったのかという点について少し疑問がある。ある考察では、リンカーンは北部には解放を宣言しつつも、南部の一部には奴隷を認めていた、八方美人だったという説もある。また論点を奴隷解放に向けさせ、世界の目を引いたことで、自らに正義があるように見せた政治家でもあったのではないか、という意見もある。しかしどんな思惑にせよ、奴隷解放を実現したことは間違いではなかったし、南北戦争を終結させた貢献もある。
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「おろしや国酔夢譚 」
注意 ネタバレ、長文井上靖原作の同名小説を緒形拳主演で1992年に斜陽にあった大映が制作した映画である。物語はまだ鎖国時代の日本、大黒屋光太夫が率いる貨物船は嵐にあい難破してしまい、遭難する。船上で死ぬ者も出る中、陸地にたどり着いた一行を待ち受けていたのは、見ず知らずの民族だった。彼らはロシア帝国の島へ流されていたのである。そこで原住民に助けられながら、極寒のロシアを体験しつつ、流木を削り出しなんとか船を作り、ロシア帝国本国へと入る。が、凍傷で足を失いロシアに帰化する者などもありながら、最後の望みをかけ、大黒屋光太夫は、ロシアの女帝エカチェリーナⅡ世へ懇願し日本へ帰国する道を模索し始める。1992年の日本映画界は冷え切っていた。そんな中で大作の大映が制作費18億円を投じ、ロシアの全面協力を受け、ロシアでのロケも行った本作。まず鎖国時代に海外に流されたと聞いて思いつくの「ジョン万次郎」であるが、それよりも前にロシアに流され、9年半もの期間、ロシアで暮らし、ロシア語を取得した人物たちがいたことに驚き、あの寒さと異文化の中で日本に帰ることをひたすら願った人々。この映画は狭い国、しきたりを重んじることで心を失った日本人への提言のような映画だと個人的には感じた。作中、異国で助けてくれたのはロシア人であり、日本に帰れるように尽力してくれたのもロシア人だった。鎖国時代の日本は外国を締め出すことしか考えておらず、史実では大黒屋を帰国後、ロシアとの政治的道具として利用しようとしたらしいことも明らかになっている。しかし帰国した大黒屋はロシアでの経験を後世に語り継ぐべく江戸で様々な人に話しを聞かせ、蘭学の発展にも貢献した。歴史の中に埋もれてしまうマニアックな人物かもしれない。だからこそこうして映画でしることこそが、日本人にとって大切なことなのではないだろうか?
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「空海 美しき王妃の謎」Legend of the Demon Cat
注意:ネタバレ、長文
2017年、日中合作映画である。製作費150億円という前代未聞の映画である。
物語は唐の時代。日本からの遣唐使を筆頭に、世界最大の経済大国となっていた唐には、世界中から優秀な人材が集まっていた。
その中には、若き日の空海の姿もあった。
ある日、唐の高官の家に言葉をしゃべる猫が現れ、金を与える。しかしそこから王宮での王の死。売春宿での騒ぎなど、決まってしゃべる黒猫が現れる。
その謎を空海が追い求め、そこに楊貴妃の謎の死の真相が待っていた。前代未聞の150億円のアジアを挙げて取り組んだ超大作ファンタジー映画であるが、日本でも中国でも評判がよくなかった。
楊貴妃の美しさ、それにみいられた男たちの物語なのだが、謎解きの部分が非常に多く、多少、物語の繋がりがないようで、そこが不評だったのかもしれない。
また日本側の主人公が空海だったのが、受けが悪い要因だったのではないでしょうか。
密教の開祖の若いころ。宗教に興味、歴史に興味がなかったら、正直観ないだろう。
でも、なんだかすごく感動した。
最期は本当に感動した。
150億円かけた映像はすごい部分もありながらも、もう少し派手にならなかったろうか、と思えるところもあった。興味ある方は、是非、観ていただきたい。
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「真田十勇士 2016」
注意:ネタバレ、長文
2014年、これまであらゆるフォーマットで作品化された真田十勇士を原作に、現代風にアレンジし、ヒットした舞台の映画化である。
時は関ヶ原から幾年。ある村で食料を盗んでいた猿飛佐助は、それがバレて村娘を人質に寺に籠もっていた。そこを通りかかった1人の侍こそは、天下に名のしれた真田幸村であった。しかし真田幸村は運良く歴史に名を残しただけで、本当は何もできない男であった。そこで猿飛佐助は昔の仲間、霧隠才蔵などとりあえずで集めた真田十勇士を天下に知らしめ、真田幸村を本物にしようと画策する。
その折に大坂城より浪人招集が全国に配布され、真田幸村も入城する。これを聞いたことで、徳川家の世の中になることを望まない諸将が集結する。
真田幸村を本物にするべく、猿飛佐助、霧隠才蔵の奮闘が始まる。
映画監督が堤幸彦とあり、笑って泣ける映画なんだと思って観ていたら、いきなり驚きの演出で笑わされた。
また思った以上に本格戦国スペクタクルに仕上がっていたのには、驚いた。日本映画でここまで戦国物を本格的にやるのは、珍しい。
特に戦国最後にして最大の合戦、大坂夏の陣は素晴らしかった。
個人的には最近、司馬遼太郎の「風神の門」を読み、霧隠才蔵をもし映画化するならどの俳優かと思っていた。その私の頭の中で松坂桃李とかいいのかなぁって思っていたところでこの映画を観たら、まさかまさかの不満なし!
もちろん主人公の猿飛佐助も中村勘九郎がぴったりだった。
オープニング、エンディングの演出が好きでない人もいるだろう。評判も良くない。
しかしエンディングに関してはこういう説もあるので、個人的にはすごくよかった。
久しぶりに時代劇で興奮してしまった。
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日蓮映画 ネタバレあり
あらかじめ書いておきますが私は日蓮宗でも、仏教徒でも宗教に思うことがあるとかもありません。無宗教の映画が好きな男の感想だと思って読んでください。
「日蓮と蒙古大襲来」
日本映画黄金期。大映の永田雅一社長は日蓮宗として知られており、日蓮の一生を映画にしたいということで、当時、大映の大スターだった長谷川一夫を日蓮に、日蓮が日本の柱となる、と決意してから武家との対立、当時の主流だった天台宗から異教徒と言われて、当時の鎌倉幕府から島流しにされたりと、波乱万丈な人生の中でも、自分の信仰を捨てず、道に立ち、教えを説きながら、幕府への進言書などを書く。
やがて蒙古が襲来し、日本は苦戦するも日蓮の願いが届き、神風が蒙古を撃退する話になっている。
日蓮というとどうしても伝説が多く、どこまでが事実なのか信じられないが、物語としては面白かった。
また永田社長の力の入れようが分かるスケールの大きな映画になっていた。
セットの巨大さ、エキストラの多さ、特撮。まさしす大スペクタクルに仕上がっている。
「日蓮」
蒙古大襲来から時代が経ち、日本映画界を取り巻く環境が悪化する中で、永田社長はもう一度、日蓮を映画化した。
今度はキャストを一新して、萬屋錦之介が日蓮を熱演している。
物語の大筋は蒙古大襲来と変わりないが、日蓮の子供の頃の回想や、宗教家としてのリアルをを追求しながらも、伝説の部分はしっかりと入れている。
そして特徴的なのは日蓮の最後までを描いている。
蒙古の襲来も台風の影響であり、日蓮は関わっていないことになっている。
こちらの映画のほうが、人間、日蓮を描いている気がする。
宗教映画というのは、必ず批判する人たちがいる。宗教の自由だから、特別それを批判波しない。
信じるもののために講義するのはけっこう。
表現の自由も素晴らしい。
だから宗教映画は面白い。議論が起こることは素晴らしいことだ。
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