"ドラマ映画"カテゴリーの記事一覧
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前々回のブログ 映画おすすめ ステップ・ファーザー 殺人鬼の棲む家
前回のブログ 映画おすすめ 海で泳ぐ 1895年
人はいつだって踏ん張れる
「私の居場所のみつけかた」
評価:★4.6
・映画おすすめ 物語
リタとルーシーの親子は男を見つけては、リタがその男の家に転がり込み、三人で暮らすことが多かった。
しかしリタには男運がなく、ろくでもない男ばかりを相手にしていた。
ルーシーはそんな男との区切りをつける役目を担っており、だらだらと関係を続けるリタを連れて、いつも逃げ出すのであった。
今度はデトロイトに向かう予定だったのだが、おんぼろ車が途中で故障していまい、周囲にはお金がかかりすぎた。
仕方なく応急処置だけを頼み、そのまま出発する二人。
しかしお金がない中でカフェに入り、食事を済ませ食い逃げをしようとした時、車が前へ走らなくなり、リタは仕方なくルーシーと一緒に謝りにいく。
警察へ電話しようとしていたところに二人が戻ってきて、家のない生活をしていることを話すと、カフェのおじさんがリタにウェイトレスをやらせ、ルーシーに荒い物をさせ、働かせてくれるのだった。
さらには店まで間借りさせてくれ、二人は寝るところと仕事を手に入れるのだった。
そんな時、リタは不動産会社の社長と付き合い始め、家を手に入れるのであった。
始めて男のいない二人の暮らし。
しかしうまくいくことだけではなかった。
辛いこともたくさんある。
・映画おすすめ 感想
ケイティ・ホームズ初の監督作品である。
男に寄生しながら生きる母親。
学校にも行かず、そんな母親だけが頼りの娘。
ホームレスではないものの、それに近い生活をする二人。
偶然だがいい人たちに巡り合ったことで、人生が変わっていく。
現実を反映してリーマンショックも描いている本作は、人生の居場所は見つけるのではなくて、作るものだと言っているように思える。
ある映画監督も同じことを言っていた。
人生の居場所は見つけるのではなく、作るものだと。
この映画は平凡な評価を受けている。
しかし個人的にはすごく染みる映画の一つになった。
監督 ケイティ・ホームズ脚本 ジョシュ・ブーン原作 アニー・ウェザーワックス『All We Had』製作 ケイティ・ホームズジェーン・ローゼンタールケイティ・マスタードベリー・ウェルシュ製作総指揮 ジョシュ・ブーンジェームズ・L・ドーランジル・キリングトン出演者ケイティ・ホームズステファニア・ラヴィー・オーウェンルーク・ウィルソンリチャード・カインド
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前々回のブログ 映画おすすめ ハートビープス/恋するロボットたち
前回のブログ 映画おすすめ ボクシングキャット 1894年
見える世界が人と違うからこそ
「ビューティフル・マインド」
評価:★4,5
・映画おすすめ 物語
ジョン・ナッシュはプリンストン大学院に入り、この世のすべてを表す理論を考え出したい、と授業は、これまでの人が考えた理論であり意味がない、と独自に部屋にこもり、論文を書き上げようと試みる。
しかしライバルのマーティンはいくつもの論文を発表し、自分の遅れを気にしていた。
そんな中、ルームメイトのチャールズは、彼に酒を進め、自分がどんな理論を作りたいのか、答えに導いてくれた。
その一方で人付き合いが苦手なジョンは、女性に声をかけるなり、セックスがしたい、体液の交換がしたい、と言いビンタを喰らうことなどがあった。
しかしこれまでの数学の理論をすべて否定するような論文を書いたことで、彼はいちやく数学者として注目を浴びるようになり、政府からの仕事も来るようになる。
時を同じくして、以前のルームメイト、チャールズが姪を引き取り育てると言って、女の子マーシーを紹介する。
さらに政府の裏の仕事を持ってきた謎の男ウィリアムの仕事も受けることになる。
その仕事とは、世間に溢れている広告や雑誌の中に暗号が隠されており、水爆のありかを示している。
アメリカは狙われている、というものだった。
腕に鉄の板を埋め込まれ、番号が書かれ、暗号を発見したらある屋敷に行き、そこのインターホンに番号を打ち込むと門が開き、すぐそばのポストに暗号を入れることが彼の任務となった。
仕事が順調だった頃、彼は講義をしなければならなくなり、そこで講義を受けに来ていたアリシアと少しずつ親密になり、相変わらずの人付き合いの苦手なジョンは、デートの最中にまたセックスがしたい、体液の交換がしたいというと、彼女はビンタすることなく、ジョンに口づけするのだった。
その後、ジョンとアリシアは結婚し、子供を授かるのであった。
だがジョンはある日、大学で精神科の医者に捕まり、精神病院に連れていかれる。
彼は統合失調症を患っており、それが長きにわたるもので、大学院の頃からだ、と言われる。
信じられないジョンとアリシアだが、大学院のルームメイトなど存在せず、政府の暗号を探す仕事もしていなかった。
毎回ポストに入れていた暗号文はそのままになっており、屋敷は誰も住んでおらず、すべてが彼が自分で作り出した幻覚だったのだ。
信じられないジョンは腕を切り裂き埋め込まれたプレートを探すが、存在しなかった。
それから薬を飲みながら、家に引きこもる生活が続いていたが、数学の論文を書くためには、頭をクリアにしなければならず、薬を飲むのをやめてしまう。
するとまた政府の仕事を依頼され、彼は人知れず、家から離れた小屋でまた広告や雑誌の切り抜きを集め始めるのであった。
それに気づいたアリシアは、逃げようとすると、ジョンはようやく気付くのであった。
幻覚の人物たちは年を取らないことを。
こうしてジョンはアリシアと子供の三人で病気と向き合うことを決意するのだった。
・映画おすすめ 感想
本作の主人公ジョン・ナッシュは実在の人物であり、ノーベル賞を受賞した天才数学者である。
それと同時に統合失調症に悩まされた過去も本当であり、病気と闘いながら、ノーベル賞を受賞する論文を発表する天才であった。
しかし映画と実際の出来事には相違点がいくつかあるらしく、まず大学院からジョンは統合失調症だったと映画では映画かれているが、実際は大学院時代は症状が現れておらず、数学者となってから症状が現れている。
また妻のアリシアとは一度、離婚しており、病気療養中は、元妻の家を間借りしていた状態だったらしい。
その後、再び結婚という。
この映画が公開された当時、ナッシュ夫妻は健在で、精力的に大学にジョンは通っていた。
ところが2015年、タクシーに夫妻が乗車していたところ、事故に遭遇し、二人はそのまま亡くなっている。
ある意味、幸せな最後だったのかもしれない。
二人でともに旅立てたのだから。
監督 ロン・ハワード脚本 アキヴァ・ゴールズマン原作 シルヴィア・ネイサー製作 ブライアン・グレイザーロン・ハワード製作総指揮 カレン・ケーラトッド・ハロウェル出演者ラッセル・クロウエド・ハリスジェニファー・コネリーポール・ベタニーアダム・ゴールドバーグジャド・ハーシュジョシュ・ルーカスアンソニー・ラップクリストファー・プラマー
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人が人を裁くことの欠陥
「炎の裁き」
評価:4,3
・映画おすすめ 物語
テキサスに住む無職の男トッドは、近所でも有名な素行の悪い男だった。妻とはいつも喧嘩をして、警察沙汰になったこともあった。そんな彼の家が火事になった。彼は一人家から逃げ出すも中には三人の娘が取り残されていた。娘たちは全員死亡し、妻との間もぎくしゃくしたままだったところ、彼は放火の罪で逮捕される。裁判が行われるも、彼の不利になる証拠ばかりが出てきて、証言をする人々も全員、彼が娘たちを殺したと断言する。トッドは死刑宣告を受け、死刑囚となった。それから歳月が過ぎたころ、ある女性とトッドは出会う。エリザベスは普通の主婦で子供が二人いる女性だった。ひょんなことからトッドと文通を始めることとなり、彼と話しているうちに、次第に彼が本当に娘たちを焼き殺したのか疑問に思うようになる。そこで裁判記録を調べてみると、裁判でトッドに不利な証言をした人々は、彼に偏見を持っているか、なにかしらの裏取引があったと思われる証拠が出てくる。さらに弁護士も弁護をほとんど放棄した状態で裁判が進んでいたことが明らかになっていく。そして放火の証拠とまでされた、火災調査でも、その道の有名な火災調査専門家に証拠を見せると、ガソリンをまいた、とされていたがガソリンは炎をつけると消えてしまい、あとが残らない。さらに逃げ場を冷蔵庫でふさいでいた、という証拠も元から冷蔵庫がそこにあったことを示していた。すべてはトッドの人柄を見た人物たちが、最初から犯人と決めつけて捜査していたことを意味していた。それらの証拠をエリザベスは弁護士と共に州知事や検察側に提出するも、冤罪は認められることはなかった。・映画おすすめ 感想
人が人を裁く限り、冤罪は免れない。本作は実際に起こった事件を基にして作られた映画であり、トッド側からの視点で描かれているので、本当のことは定かではない。公平な視点では描かれていないので、見ている人たちはトッドに感情移入してしまう。しかし見ている人たちはこの事件を知ることができる。冤罪で犠牲になった人の真実を少しでも知ることができる。あるレビューにこう書いてあった。「一度決められた裁判を覆すために腰を上げさせるのは、難しい」まさしくその通りで、一度決着した裁判を再捜査に持ち込むのは、どこの国でも難しいことであり、本作を見ていればそれがいかに大変かがわかる。本作の最後にテキサス州の知事が死刑制度についての意見を断言している。個人的に死刑制度に反対はしない。報いを受けるべき人は現実に存在し、死でしかあがなえない罪もある。ただ冤罪で人生を奪われるのは間違っている。それを知っていて隠すのもまた、犯罪ではないのだろうか。監督 エドワード・ズウィック脚本 ジェフリー・S・フレッチャー主演ジャックオコンネルローラ・ダーンエミリーミード
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言葉の旅は今も続く
「博士と狂人」
評価:★4,5
・映画おすすめ 物語
貧しい家庭に育ち、博士号を持たない博士マレーは、ある日、オックスフォード大学に呼ばれる。オックスフォード大学は大英帝国の威信をかけて、英語のすべての言語、歴史を乗せる大辞典を作ることにり、その委員会が彼に責任者として任せたいと言ってきたのである。委員会の中に彼の才能を高く評価した友人がおり、彼の推薦だった。伝統を重んじる委員会のメンバーには反対する者もいたが、彼の博識なところが披露されると、責任者として任命されることが正式に決まる。妻と子供たちを連れ、引っ越した先に辞典を作る小屋を建て、人を雇い、国中に言葉を教えてほしいと募った。すると全国中から書簡が届き、辞典の編纂は順調かに思えた。しかし分からない言葉が次々と出てくると、手詰まりになってきていた。一方、戦争の軍医として功績をたてながらも、戦争で心に障害を持ってしまった男マイナーは、夜中に道を歩いていた男を自分を狙った人物だと勘違いして撃ち殺してしまう。裁判で彼の精神状態が異常であると認められ、精神病院に隔離されることになる。殺された男の妻は悲しみといら立ちを見せる。マイナーは精神病院で、死にそうになった看守を助けたことで看守たちに信頼され、委員長からも面白い人物だと認められた。やがて彼のところに夫を殺された妻が会いに来る。マイナーは軍隊の年金をすべて彼女に寄付することを約束し、次第に二人は打ち解けていくのだった。そんな時、看守が差し入れた本の中にあった辞典の編纂情報を見つけた彼は、自分が立ち直るきっかけになるのではないか、と委員長に本を依頼する。委員長は本を彼に思う存分与え、彼は言葉を次々とすくいあげ、大量の書簡にしてマレーに送るのだった。そこから大辞典の編纂ははかどり、ついに初版が発行される運びとなった。これを機会にマレーはマイナーのところへ行き、二人は言葉で親交を深めるのだった。ところが夫を亡くした妻との間に愛が芽生え始めたマイナーは、自分にそんな資格はない、と自分の股間を切り取り、再び殻にこもってしまう。それをマレーが訪れてもマイナーは追い払い、これを良いことに、院長はマイナーに自分が考えた治療法を施し、廃人にしてしまうのだった。同じころ、マレーもまた辞典の責任者として委員会にいる反対派から追い出されることになる。二人の天才は窮地に陥るのであった。・映画おすすめ 感想
本作は実話をもとにした本を原作としている。Amazonで英語辞典売り上げ一位を今もたたき出している、オックスフォード英語辞典。その始まりの物語であり、不遇の天才二人の物語でもある。確かに殺人犯であり、精神病患者であったマイナーは実在しており、辞典の編纂に多いに貢献したのは確かである。こうした埋もれている歴史の偉人たちを世界中に紹介する映画というのは素晴らしい。この映画は言葉を愛する人、何かに夢中になる人、愛する人がいる人たちすべてに見ていただきたい。見終わった後、晴れ晴れとした気持ちになることは間違いない。監督 P・B・シェムラン(英語版)脚本 トッド・コマーニキP・B・シェムラン原作 サイモン・ウィンチェスター『博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話(英語版)』製作 ニコラス・シャルティエ(英語版)ガストン・パヴロヴィッチ(英語版)製作総指揮 ドミニク・ラスタムゼブ・フォアマンピーター・マカリーズタイラー・ザカリアマニュ・ガルギ出演者メル・ギブソンショーン・ペン
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きっと世界は優しい
「ザ・シークレット:希望を信じて」
評価:★4.2
・映画おすすめ 物語
夫を飛行機事故で亡くしてから、ミランダは三人の子供を育てるため、働き詰めであった。
古い家に住み、古い車に乗り、レストランの経営者と恋人関係にはあったものの、本当にそれが正しいのか分からずにいた。
ある日、封筒を持った男が彼女の家を訪問する。
しかし彼女は居らず、風邪で休んでいた息子と出会い、会話を交わすのだった。
男の名はブレイ。
ホテルへ帰ろうとしていたところ、ミランダが運転する車が衝突してきた。
車のバンパーが壊れてしまい、ブレイはそれを治そうと言い出し、最初は困惑したミランダだったが、お願いすることにした。
家に行くと初めてそこでブレイは、自分が探している女性だと理解した。
車の修理を終えて、夕食を共にしたブレイがホテルへ帰った日、ニューオーリンズをハリケーンが襲い、ミランダの家は飛んできた木が屋根を貫くのだった。
ハリケーンが過ぎたあと、ブレイがコーヒーを持って家にやってくる。
そして格安で家を直すと申し出たのであった。
実はブレイにはミランダに話さなければならないことがあったのだった。
・映画おすすめ 感想
引き寄せの法則。
本作は原作が啓発本であるから、引き寄せの法則について語っているところがある。
そういうのが苦手な人には、合わない映画かもしれないが、人生に疲れた人、苦しい人には、是非とも見てもらいたい映画である。
最後も実に微笑ましい終わり方をする。
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女は女のけじめがある
「極道の妻たち2」
評価:★4,3
・映画おすすめ 物語
バブル景気に沸く大阪の土地を仕切る重宗組は、開発業者の嫌がらせに会う。しかしそれがダミー会社であることを知らされた組長の妻、遊紀は若い衆にダミー会社を調べさせる。すると萬代組が裏で糸を引いていることが分かった。萬代組は次に組長と幹部を襲撃する。遊紀の夫、組長は無事であったが幹部は命を落としてしまう。これもまた萬代組の仕業であると知った遊紀は萬代組に乗り込んでいくが、逆に組長が二億円の借金をしていることを知らされる。支払えない場合は重宗組を売ってもらうことになる。金策に走る遊紀は、徳島の知り合いのところへ向かう。そこで元ヤクザの刑務所帰りの男木本と出会う。その場で賭けポーカーをして遊紀は大金を手にする。だがそれが木本のいかさまであることをしるが、知り合いのママに金に困っていることを知って諭される。大阪へ帰った遊紀のもとへ木本が海外に行く前に会いに来る。そして二人は体を重ねるのだった。ところが木本には刑務所に入る前に付き合っていた女性麻美がおり、その間には娘が産まれていた。偶然、出会った二人。木本は麻美とまた暮らすためかたぎになることを決意する。けれどそこにもまた、萬代組の横槍が入る。遊紀の方は組長が癌で余命わずかと聞かされ、ますます金が必要になってくる。そこで二人は全国を回り賭博で金を稼ぐことにするのだった。・映画おすすめ 感想
一作目も岩下志麻から主役が十朱幸代に変わり、物語も一新された。かたせ梨乃だけは続投となるも、役柄はまるで違い、元ヤクザの男に惚れる女の役を演じている。当時、任侠映画は下火になっていた。だが本シリーズが任侠映画を再び、映画界に戻したのも事実であり、東映は任侠映画を辞める、と公言しながらも本シリーズだけは断続して続けている。今でも一定の需要がある任侠映画。そこで脇役である妻、女たちを主役にした映画は、当時としてはセンセーショナルであり、新鮮であったのだろう。監督 土橋亨脚本 高田宏治原作 家田荘子(文藝春秋刊)出演者十朱幸代村上弘明かたせ梨乃藤岡琢也神山繁
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完璧な男に出会ったはずだった
「グッド・オン・ペーパー」
評価:★4,2
・映画おすすめ 物語
スタンドアップコメディアンのアンドレアは、その業界では知らないものがいないほど、有名だった。しかし女優業でははっきりした成果を出せずに、若い女優に嫉妬ばかりしていた。そんな時、デニスという男性と空港で出会う。しかも飛行機の座席は隣同士で、話が盛り上がった。デニスはイエール大学を卒業し、ファンドマネジメントを仕事としていると自己紹介する。その後、アンドレアとデニスは友達以上、恋人未満の関係を続け、アンドレアはデニスといる時は、幸せな気持ちになった。しかし家の場所を教えてくれなかったり、教えてくれたと思ったら、シェアハウスで女性たちと暮らしていたりと、言動がどんどん変になっていく。更に母親は病気で、ビバリーヒルズの家で同居しているという。家に行こうとするたびに都合が悪くなるなど、ますますおかしくなっていく。そしてついにアンドレアは友達と一緒に彼を酔わせて、本当のことを聞き出す決意をする。・映画おすすめ 感想
愛したと思っていた男がもし疑うところばかり出てきたら。最初は一目惚れではなかった。しかしだんだんと彼の優しさや面白さに惹かれていく。だが次第にそれが不審へと変化していく。恋愛映画と思ってみていると、最後は男なんて最低、と言いたくなる結末を迎える。疲れた人生に栄養を与えてくれる映画だ。監督キム・ゲートウッド脚本イライザ・シュレシンガー出演者イライザ・シュレシンガーライアン・ハンセンレベッカ・リッテンハウスマット・マクゴリーキミア・ベープーニア
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才能をいち早く見出してくれた恩人との物語
「旅立ち~足寄より~」
評価:★4,3
・映画おすすめ 物語
1975年に開催された全国フォーク音楽祭北海道大会に、警察車両に乗せられてやってきた男、松山千春は、足寄から片道数時間かけてやってきて、途中、警察に間違って補導されてしまい、そのお詫びに警察車両で会場まで送ってきてもらっていた。
ニッカポッカにサングラスという出で立ちに、会場は笑いに包まれる。
それでも千春はオリジナルソング「旅立ち」を歌い、観客を魅了した。
審査員だったラジオ局の竹田は、ギターが悪いといい、それに怒った千春はギターの品評会じゃないと竹田に食って掛かった。
これに審査員たちは千春を落とすことにしたのだが、竹田は千春の歌声に才能を見出し、会場をいあとにする千春を呼び止め、連絡するから歌を作り続けろ、という。
それから季節が流れ、一年の歳月が経過し、友達や姉からは騙されたと言われていた。
そんな中でも寡黙な新聞工場を経営する父の手伝いをしながら、曲作りを続けていた。
そして竹田からの連絡が来る。
竹田は松山千春のためにラジオで15分のコーナーを作り、そこで歌わせるために必死に上司に掛け合っていたのだった。
それが実り千春はコーナーで歌を歌う日がやってきた。
しかしそれに遅刻してしまい、なんとか歌は番組は成功したものの、遅刻した千春をひっぱたき、みんなに謝らせるのだった。
それから千春と竹田は二人で北海道のスターになることを夢見て、走り始めるのだった。
・映画おすすめ 感想
本作は松山千春が自伝小説として23歳の時に発表した「足寄より」を原作とした映画である。
北海道の美しい風景とそこから生み出される松山千春の音楽が心地よい映画である。
そして竹田との関係性が心に響く。
松山千春はああいう性格である。
それを叱り、励まし、心配しながらスターにしていった竹田。
しかし函館公演前に急性心筋梗塞で亡くなってしまっている。
今も松山千春は竹田のことを忘れず、竹田が聞き続けた「旅立ち」を歌っている。
監督 今井和久脚本 鴨義信原作 松山千春製作総指揮 小曽根太出演者大東俊介萩原聖人音楽 松山千春主題歌 松山千春「我家」
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見たものを狂わせる怪物
「荒れ野」
評価:★4,3
・映画おすすめ 物語
世間から離れ荒れ野に住む一家。父は無口で幼い息子に一人でも生きていけるよう、ウサギのしめ方、銃の撃ち方などを教えようとする。しかし母はまだ幼い息子にはそんなことはできない、と野菜の育て方や歌を教えるなど、子供らいしく育てようとしていた。寡黙な父の様子に、いつも何かを抱えているような感じを覚えた息子。ある日、父はその理由を話した。家の周りには案山子が建てられており、その外にはいくなと息子は言われていた。外には首が長く大きな怪物が住んでいるという。怪物は父の姉には見えた。しかし父は信じなかった。そのせいで姉は窓から飛び降り自殺したという。その話を聞いた数日後、川に一艘の船が流れ着く。男が血まみれで倒れており、銃には弾が入っていなかったことから、父はあの怪物を目撃した人物だとすぐに理解する。治療を施すも、間もなくその男は自ら銃で命を絶つのだった。母は船に乗せて川に流せばいい、というが父は遺留品から家族がいたと思われる男の遺体を、家族のもとへ届けてやりたい、と馬で出て行ってしまう。数日中には帰るといった父は、その後二度と帰ることはなかった。やがて母の様子もおかしくなってくる。息子には見えない何かにおびえ、銃で威嚇し、来るなと叫んでいた。母にも見えたのである、首の長い怪物が。そして息子にもそれは見え始めるのだった。・映画おすすめ 感想
落ち着いた雰囲気の映画。状況は荒れ野に住む家族、ということ以外まったく情報がなく、外の世界も描かれないので、見た人が想像することのできる余白が残されている。また怪物にも言及するところはあるものの、結局、それがなんであるのか、ただ恐怖する者をおかしくさせる、ということしかわかっていない。ラスト、息子の姿に大人への階段を上ったともとれるが、呪縛に取りつかれた背中にも見えたのが印象的であった。監督ダビド・カサデムント脚本ダビド・カサデムントフラン・メンチョンマルティ・ルーカス出演者インマ・クエスタアシエル・フローレスロベルト・アラモビクトル・ベンフメアアレハンドラ・ハワード
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誘拐、請け負います
「テイク・ミー」
評価:★3.7
・映画おすすめ 物語
誘拐を依頼され疑似誘拐をするレイは、依頼を受けてシナリオを考え、相手を誘拐していた。誘拐を体験することで精神的ストレスの解消効果があると信じていた。レイには妹がおり、甥っ子たちと遊ぶのを楽しみにしていた。しかし義理の弟から金を借りるなど、金銭面に困っていた。そんな時、アナという女性からこれまでにない大口の依頼が入る。アナは通常は八時間のコースのところを、終末を使った長期の誘拐を希望し、さらに誘拐中はぶってほしい、と注文を付けてきた。そしてプランを練り、いざ誘拐すると、アナはひどく抵抗する。しかも会社に出社しないアナの捜索願が出され、警察がレイの家まで来てしまう。これには驚き、もう演技は終わりだ、とアナにいうが、アナはなんのことなのか分からない様子。しかも前金の小切手サインが違うと主張。誰かにハメられたと気付いたレイは、アナに暴力を振るわれながら、親の残した別荘へと向かうのだった。・映画おすすめ 感想
気弱で人生がうまくいっていない。そこで結婚していた当時の奥さんと考え付いた誘拐ビジネス。しかし人生とは彼のようにうまくいくときもあれば、妻に離婚を申し渡されてしまうときもある。物語は誘拐する側とされた側のやり取りで終始進む展開。登場人物も主要の二人を除けば、名前すら覚えなくてもよい人ばかり。最後の瞬間、主人公がどう思い、何を感じたのかを考えると、考察がはかどる映画である。監督パット・ヒーリー脚本マイク・マコウスキー出演者テイラー・シリングパット・ヒーリーアリシア・デルモアジム・オヘアブルック・ディルマンマーク・ケリートビー・ハスアレハンドロ・パチーノアンドリュー・スタトン
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ほんの些細なことで世界は崩壊する
「SKIN 短編」
評価:★4.3
・映画おすすめ 物語
ジェフリーの一家は過激な思想を持つ仲間で集まり湖畔へ向かう。そこで大量の銃器で廃車を撃ちまくり、ストレスを発散していた。ジェフリーの息子トロイはまだ幼く、ジェフリーがトロイに銃を持たせ、ボトルを狙撃できるかかけをする。トロイは見事に大きなライフルでボトルを打ち抜くのだった。それから数日後、仲間と買い物をしていたジェフリー一家。トロイがレジで黒人男性と目が合い、黒人男性は微笑んで手の持っていたおもちゃでトロイを笑わせた。それを見たジェフリーはトロイに因縁をつけられたと勘違いをして、黒人男性に差別用語を口にする。黒人男性は文句を言い、その場を去ろうとした。しかしジェフリーは電話をし、車で待機する仲間に連絡し、黒人男性を集団リンチするのだった。それからさらに数日が過ぎたある日、ジェフリーはトロイを連れて遊びに出かけていた。夜になり帰り道の路地を入ると、バンが道をふさいでいた。クラクションを鳴らしても車はどける気配もない。しかたなくジェフリーが車から降りてバンに近づいた時、ジェフリーは黒人の一団に息子の前で拉致されるのだった。・映画おすすめ 感想
アメリカに根強く染みついた黒人差別の意識。それはほんの笑顔だけで爆発してしまうのだ。この映画はきっとアメリカの抱えた人種差別をリアルに表しているのだろう。本作は20分の短編映画であるが、その衝撃はこの短時間では凄まじい物を見るものに与える。アカデミー短編賞を受賞しているが、見終えた時、理解できることだろう。監督 ガイ・ナティーヴ(英語版)脚本 ガイ・ナティーヴシャロン・メイモン原案 シャロン・メイモン製作 アンドリュー・カールバーグティム・ハームスダリル・ラモント・ジェンキンス(英語版)ガイ・ナティーヴジェイミー・レイ・ニューマンブライオン・ウィドナー(英語版)製作総指揮 マット・ルーバーステファン・マオジョアンナ・プラフスキーセリーヌ・ラトレイ(英語版)ジェシカ・シャーマンピーター・ソビロフトゥルーディー・スタイラー(英語版)出演者ダニエル・マクドナルドジャクソン・ロバート・スコット(英語版)ジョナサン・タッカー
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人は罪を犯したらそれから逃れることはできない
「消えない罪」
評価:★4,5
・映画おすすめ 物語
ルースは20年前に家の立ち退きのもめごとで保安官を撃ち殺す罪を犯した。刑務所で模範囚だった彼女は出所後、保護観察官の監視の下、新しい人生を歩もうとしていた。しかし心残りが一つ。年の離れた妹のことだった。獄中から何度も手紙を里親に出したものの、返事は一切かえって来なかった。昔の家を見に行ったルースは、そこに新しく住んでいた弁護士一家と出会う。その際、弁護士に里親と会うことができないか相談を持ち掛けるも、殺人犯だと分かった弁護士は、どうするべきか悩んでいた。一方、保安官の息子たちは、父を殺された無念を抱え、ルースが出所したのを付け回していた。二人の息子たちは復讐を誓ったのである。ルースはそんなことも知らず、新しい職場で友達になった男に自分の罪を告白する。その翌日、職場にそれが知れ渡り、警官を身内に持つ同僚にこっぴどく殴られてしまった。保護観察官は新しい人生を、罪は消えない。そういわれるが、やはり妹のことが気になって仕方がなかった。人は罪を犯したら許されることはないのだろうか。・映画おすすめ 感想
非常に重いテーマを抱えた映画である。殺人を犯して服役していた人物に世間は冷たい。普通に生きていても生きずらい世の中で、罪を背負って新しい人生をおくる。この映画のテーマとなっているところは、考えさせられるところがある。また主人公の罪ばかりではない。物語には小さい罪がいくつか出てくる。それはけして消えない罪であり、それぞれそれを背負って生きていかなければならないのだ。しかしこの物語の最後には、救いがあるように思えた。監督 ノラ・フィングシャイト脚本 ピーター・クレイグヒラリー・サイツコートネイ・マイルズ原作 サリー・ウェインライト製作 サンドラ・ブロックヴェロニカ・フェレグレアム・キング製作総指揮 ナン・モラレスニコラ・シンドラーコリン・ベインズサリー・ウェインライト出演者サンドラ・ブロック
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芸人は笑われるんじゃない、笑わせるんだ
「浅草キッド」
評価:★4,7
・映画おすすめ 物語
大学を中退して芸人を目指すことを決めた、たけしは浅草のストリップとお笑いの殿堂ともいえるフランス座で働き始める。そこにはコント55号、東八郎などを輩出した浅草の師匠、深見千三郎がいた。たけしはフランス座の切符売りのおばちゃんを通りして、深見に弟子入りを懇願する。しかし芸人になりたいなら芸を持っているのか、と聞かれたけしは言葉に詰まる。すると深見はその場でタップダンスを披露し、これが俺の芸だ、と言い放った。その日からたけしは深見のタップダンスをまねるようになり、次第に深見もたけしを気に入るようになる。やがて正式に弟子入りした、たけしはフランス座の仕切りも任されるようになる。しかしフランス座はテレビや漫才ブームのあおりを受け、下火になっていた。経営する深見も経営に頭を抱えながらも、芸人は舞台の上で芸をするものだ、とテレビ出演などの話を断り続けた。たけしはそのころ、きよしに漫才を一緒にやらないか、と誘われていた。フランス座ではストリップがメインとなり芸人は脇役。そんな居場所のないところを飛び出すべく、師匠にフランス座を辞めることを宣言、ツービートとしてこれまでにない新しい漫才をするのであった。その心にはいつも、深見の言葉があった。・映画おすすめ 感想
いつの時代も夢を追いかける人間には情熱がある。本作はビートたけしの自叙伝を映画化したものであり、深見千三郎も実在した伝説の芸人である。物語の中で、芸人は笑われるんじゃない、笑わせるんだ。芸人が芸を見せてるんだ、客は黙って見てろ。今の時代にはいない粋な男に描かれている。この深見の最後の弟子がビートたけしであり、きっと今も師匠を追いかけているのだろう。いつも芸人は芸のことを考えろ。すべての夢を目指す人に向けた言葉だろう。本当に素晴らしい映画であった。監督 劇団ひとり脚本 劇団ひとり原作 ビートたけし製作 Netflix出演者大泉洋柳楽優弥門脇麦土屋伸之中島歩古澤裕介小牧那凪大島蓉子尾上寛之風間杜夫鈴木保奈美主題歌 桑田佳祐「Soulコブラツイスト〜魂の悶絶」
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平凡な生活がある日一変
「ジュディーを探して」
評価:★3,6
・映画おすすめ 物語
エディーは通販番組の観客、サクラとして仕事を引き受ける会社の一人として働いていた。日雇いのような仕事で、指示された通りに働いていた。彼にはひそかに恋心を抱く女性がいた。ガソリンスタンドで働くジュディーである。軽いデートをするなど、関係はちぐはぐながら、どこか自分たちが似ていることに気付き、次第に距離が縮まっていく。しかし事態は一変する。あるテレビ番組でエディーが取り上げられてしまったのである。同じ顔の人物が通販番組に複数出演しているとして、笑いの対象とされたのだ。しかも番組は彼を探し始める。幸い、ジュディーはテレビが壊れていて、見ていなかったのだが、彼女のところにはテレビクルーが突撃してしまい、彼が何かをしてしまったのでは、と勘違いした彼女。そしてガソリンスタンドはそれを迷惑ととらえ、ジュディーをクビにしてしまうのだった。どうすることもできないエディーは、ついに番組に出演、なんとジュディーを探すことにしたのであった。・映画おすすめ 感想
ロマンチックに見える映画。だけどこれはテレビの悪い部分が出ている映画である。一般人を表舞台に引きずり出し、笑いものにする。それで私生活を破壊して、さらに笑いにつなげる。それで責任をとらない。なんという悲劇だろうか。日本のテレビもそういうところがあるものの、きっとアメリカはさらに過激なのだろう。監督 ディート・モンティエル脚本 ディート・モンティエル原作 ディート・モンティエル『Eddie Krumble Is the Clapper』製作 マイク・ファルボエド・ヘルムズディート・モンティエルアレックス・ルボヴィッチスティーヴ・ポンスロビン・スコア製作総指揮 ジョン・M・ベネットマイケル・ビーンレイ・ブデローモーリス・フェディダミッキー・グーチ・Jrジェフリー・ポラック出演者エド・ヘルムズアマンダ・サイフリッドトレイシー・モーガンブレンダ・ヴァッカロ
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司法に偏見があってはならない
「黒い司法0%からの奇跡」
評価:★4.7
・映画おすすめ 物語
ハーバード大学を出たブライアンは、弁護士となるも普通の弁護士にはならず、人権保護を目的とする弁護士を目指した。そのため偏見の多いアラバマへと引っ越す。そこで人権活動家の女性の手を借りて、弁護士として、冤罪をはらす活動を始める。出会ったのがウォルターだった。林業を生業とする彼は、ある日の帰り道、突然逮捕され、若い白人女性殺しの罪で死刑囚となる。ブライアンが調べてみると、証拠となるものは何一つなく、脅されてウォルターに手を貸した、という白人男性の証言だけだった。しかしブライアンが何度もその白人囚人へ話を聞くと、検察側に脅されて証言したと自白する。ブライアンはすべての潔白の証拠を法廷へ提示し、再審請求をするも、それは認められなかった。だったらとブライアンは最高裁判所へと証拠を提出するのであった。・映画おすすめ 感想
近年でも黒人が警察官に射殺される、逮捕時に圧迫されて死亡するなどの事件で、黒人社会が暴動を起こすなど今現在でも偏見、差別の時代は終わっていない。この映画も実在の事件を元にした映画であり、ここに描かれている不当な出来事が本当にあったのだ。きっと今、この瞬間も黒人差別は続き、言われない事柄で不当な扱いをされている人たちがいるのだろう。この映画のように不当に立ち向かう弁護士がいてくれるなら、世界も捨てたものではない。監督 デスティン・ダニエル・クレットン脚本 デスティン・ダニエル・クレットンアンドリュー・ラナム原作 ブライアン・スティーヴンソン(英語版)『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』(亜紀書房)製作 ギル・ネッターアッシャー・ゴールドスタイン製作総指揮 マイケル・B・ジョーダンマイク・ドレイクダニエル・ハモンドガブリエル・ハモンドチャールズ・K・キングニーヤ・クイケンドールブライアン・スティーヴンソン出演者マイケル・B・ジョーダンジェイミー・フォックスロブ・モーガン(英語版)ティム・ブレイク・ネルソンレイフ・スポールブリー・ラーソン
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思春期の憂鬱
「スウィート17モンスター」
評価:★4,2
・映画おすすめ 物語
高校二年生のネイディーンは母親譲りの妄想が口に出てしまう自己嫌悪がちな女の子。子供の頃に知り合ったクリスタが唯一の親友であり、彼女との時間だけが救いだった。しかしそれも崩壊してしまう。仲の悪い兄とクリスタが付き合うことになり、クリスタと絶交状態になってしまう。そんな彼女は何とか人生を最高の物にしようとするが、なにもかにもうまくいかない。そうした愚痴を聞いてくれるのは、教師のブルーナーただ一人。ただブルーナーはそんな彼女を説得するわけでも、親権に話を聞くわけでもなく、適度に見守るだけだった。家族とも友達ともうまくいかない彼女。ネイディーンにしかし同じクラスのアーウィンだけは、声をかけてくれるのだった。誰もが抱く思春期の嫌悪感と孤独。・映画おすすめ 感想
母親とも兄ともうまくいかない彼女は父を亡くしてさらに孤独になる。そんな彼女を支えてくれた親友が兄と恋人関係になってしまう。これは辛い。唯一の居場所を奪われてしまったのだから、暴走してしまうのも無理はない。なんだか自分と重ねてみてしまう映画である。監督 ケリー・フレモン・クレイグ(英語版)脚本 ケリー・フレモン・クレイグ製作ジェームズ・L・ブルックスリチャード・サカイジュリー・アンセル[注釈 1]ケリー・フレモン・クレイグ出演者ヘイリー・スタインフェルドウディ・ハレルソンキーラ・セジウィックブレイク・ジェンナーヘイリー・ルー・リチャードソン
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それは病気ではない
「ある少年の告白」
評価:★4.3
・映画おすすめ 物語
牧師の息子に生まれ、キリストの教えを受け、愛情を注がれて育ったジャレット。高校時代には彼女がいたが、肉体関係にはならなかった。なにか違和感を感じていたからだ。その後、大学へ進学したジャレットは、仲良くなった男友達にレイプ未遂の被害を受ける。そのことで自分が男が好きなのだと自覚するようになった。その事実を両親に告白すると、父親は先輩牧師たちを呼び、ジャレットが自分がゲイであることを直したい、と言ったことから、救済プログラムを実施している施設へ入ることになる。施設は神の言葉を引用し、入所してきた人々の家系に問題があるのではないか、自分が同性愛者として目覚めたときのことをみんなの前で告白させるなどのことをした。告白できない場合、棺桶の前で聖書による暴行がなされるなど、ジャレットには耐えがたい場所だった。そして彼は施設を出ることを決める。この真実を世間に公表することにするのだった。・映画おすすめ感想
この映画は原作者の回顧録を映画化したものであり、実際に起こったことなのだ。映画の中で同性愛を矯正する施設が描かれているが、はたしてそれが正しいことなのか、見ている側としては分からなくなる。キリスト教では同性愛が禁止されているので、矯正しなければきっとだめなのだろうとは思う。だが矯正しようとして、人間の本質とも呼べる愛の部分を変えられるものなのだろうか。ジェンダーレスに理解が広がり始めてはいるものの、まだまだこの世界は同性愛者を差別する世界が広がっている。この映画を見て、何が正しいのか分からなくなる。監督 ジョエル・エドガートン脚本 ジョエル・エドガートン原作 ガラルド・コンリー(英語版)『Boy Erased: A Memoir』製作 ジョエル・エドガートンスティーヴ・ゴリンケリー・コハンスキー・ロバーツ(英語版)出演者ルーカス・ヘッジズニコール・キッドマンラッセル・クロウ
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男と女は分かり合えないのかもしれない
「イカとクジラ」
評価:★4,3
・映画おすすめ 物語
昔は売れっ子作家であったバーナードは今はスランプに陥っていた。対する妻のジョーンは売れっ子作家となり、二人の間には大きな溝ができてきて、やがて離婚してしまう。二人にはウォルトとフランクという息子たちがいた。親権は二人で共同で持つことになり、それぞれの家を行ったり来たりするようになる。ウォルトは父の気持ちを理解し、母の浮気や新しい男ができたことに失望する。フランクは父が苦手で母親の家に居たいと言い出す。そんな息子たちは思春期に入り、家庭環境のストレスから次第に問題行動を起こすようになっていく。・映画おすすめ 感想
誰の目線で見るかによって、違った印象を受ける映画。本作には主に四人の登場人物がメインとして描かれているが、誰の立場に立つかによって、映画の印象はガラリと変わってくる。管理人個人としてはバーナードの立場で映画を鑑賞したので、妻が他の男と浮気をしたり、付き合ったり、成功するのがあまり印象よく思わなかった。きっとジョーンの立場で見た場合、最低の父親に見えるだろうし、ふてくされているだけの男に見えるだろう。また子供たちの立場に立つとまだ違った角度からこの映画の世界観が見えてくるだろう。この映画のラストはきっと、心の中にある本当の気持ちを表しているのだと考察する。監督 ノア・バームバック脚本 ノア・バームバック製作 ウェス・アンダーソンチャーリー・コーウィンクララ・マルコヴィッチピーター・ニューマン出演者ジェフ・ダニエルズローラ・リニージェシー・アイゼンバーグオーウェン・クライン
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自分自身がなにものなのかを問いかける
「アイ・アム・マイケル」
評価:★3,3
・映画おすすめ 物語
マイケルはゲイとして生活していた。恋人もおり、自ら率先してゲイの人権を訴えていた。ゲイマガジンまで発行し、絶大な人気を誇っていた。しかし深くキリスト教の教えにも共感しており、自分が何者なのかを考え見つけるべく、恋人のもとを去る。そしてキリスト教の学校に入り、自分を見つめなおした。自分はゲイであるのかそうではないのか。彼の葛藤の半生を描いた実話。・映画おすすめ 感想
自分が何者なのか、見つける旅に終わりはない。ゲイ活動の最前線にいた彼が、宗教に目覚め、ゲイを辞める。本作ではそんな流れになっているものの、どこか自分を隠しているようにも見えた。神を信じ、神のみこころのままに自分がゲイであることを捨てた。しかしゲイである自分も確実に存在している。これは本当に難しい。きっと彼はこれからも自分を探し続けるのだろう。監督ジャスティン・ケリー出演者ジェームズ・フランコエマ・ロバーツザカリー・クイントダリル・ハンナレヴェン・ランビンアヴァン・ジョーギアレスリー・アン・ウォーレンチャーリー・カーヴァーデヴォン・グレイエヴィ・トンプソン
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料理に取りつかれた男
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
評価:★4,6
・映画おすすめ 物語
ロサンゼルスの一流伝統レストランでシェフをするカール。料理が大好きで家でも料理をする、料理バカであった。ある日、料理評論家が店に来ることになり、カールは自分なりの攻めた料理を作ることをオーナーに提案する。しかしオーナーはいつもの定番メニューでやることを押し通し、結果、ネットでレストランは叩かれた。Twitterを始めたカールが評論家に舌戦を挑んだことから、再び評論家がレストランへ来店することに。今度こそとオーナーに自分の料理を提供するというが、口論になり店を辞めることになった。しかし評論家のネットへの書き込みが許せず、食事をしているところへ向かい、大声でののしるのだった。それがまたネットで拡散され、カールは働く場所を失うのだった。そこで元妻が提案したフードトラックでサンドイッチを売ることを決めたカールは、夏休み中の息子と、元のレストランの相棒と共に、ロサンゼルスへむけ、営業しながらの旅を始めるのだった。・映画おすすめ 感想
料理は人を笑顔にする。おいしい物を食べて不機嫌になる人間はいない。この映画はまさしくそれを表している。料理から離れられない男と、料理をおいしく食べたい人々の物語。高級じゃなくたっていい。おいしい物はフードトラックでも食べられる。肩ひじを張らず、笑顔でただかぶりつけばいいだけの話なのだ。監督 ジョン・ファヴロー脚本 ジョン・ファヴロー製作 ジョン・ファヴローセルゲイ・ベスパロフ出演者ジョン・ファヴローソフィア・ベルガラジョン・レグイザモスカーレット・ヨハンソンオリヴァー・プラットボビー・カナヴェイルエムジェイ・アンソニーダスティン・ホフマン
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犬のためのホテル改造
「ホテル・バディーズ ワンちゃん救出大作戦」
評価:★4,5
・映画おすすめ 物語
何軒もの里親をたらいまわしにされているアンディとブルースの姉弟は、フライデーという犬をひそかに飼っていた。今の里親も酷い環境に二人を置いているが、フライデーがいるから頑張れた。そんな時、ある廃墟のホテルにフライデーが入ってしまい、姉弟は追いかけていく。そこには野良犬たちが住み着いており、二人はそこでフライデーを飼うことにする。だが町にはまだまだ困っている犬がいる。保護局が来れば犬は連れ去られてしまう。そうなる前に出会った仲間たちと犬を保護してホテルへ連れてくるのだった。やがてホテルは犬のホテルとなっていく。・映画おすすめ 感想
非現実的だが理想的な映画。現実世界では、無責任な飼い主によって捨てられたり、野良犬となった犬が大勢いる。その結末は大体が殺処分になることだろう。この映画でも一室に連れていかれる犬のシーンがある。その犬はもう戻っては来ない。殺処分ゼロを目指す人々は大勢いるが、全部の犬を救うことはできない。しかしこの映画では救っている。この映画が現実になることを願いたい。そう思える映画だった。監督トール・フロイデンタール脚本ジェフ・ローウェルロバート・スクーリーマーク・マッコークル出演者エマ・ロバーツジェイク・T・オースティンカイラ・プラットリサ・クドローケヴィン・ディロンドン・チードルイヴェット・ニコール・ブラウン
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人間、休むのも大事
「めがね」
評価:★3,8
・映画おすすめ 物語
人生に疲れた女性タエコは、南の島、携帯のつながらない場所を選び、降り立つ。そこには民宿があり、宿泊することになる。しかしそこの経営者ユージと高校教師ハルナが敬愛する謎の女性サクラがいることで、なにか居心地が悪かった。そこで別の民宿に移ったのだが、そこでは畑仕事をしなければならず、慌ててユージの民宿へ戻る。そこでは黄昏ることがなによりも大切にされており、やることのないタエコは、編み物をしながら海を見つめていた。そしてサクラが作るかき氷を食べ、黄昏ることの大切さに気付き始めるのだった。次第に凝り固まったタエコの心は、安らいでいく。・映画おすすめ 感想
かもめ食堂からほぼそのままのスタッフ、キャストが移動してきて制作された本作。かもめ食堂の時と同様に、不思議な世界観、空気感がある。しかしそこにはやさしさが流れていて、見ていて心地よくなる映画だ。作中に出てくる食べ物もおいしそうに撮影され、素晴らしい映画である。もたいまさこ。唯一無二のこの女優さんの演技がやはり最高である。監督 荻上直子脚本 荻上直子出演者小林聡美市川実日子加瀬亮光石研 -
チンピラたちの誘拐計画は大規模に
「大誘拐」
評価:★3.4
・映画おすすめ 物語
スリで服役していた健次は自分が犯罪者に向いていないことを痛感した。そこで再出発のために資金調達をもくろむ。それは紀州の大地主の老婆を誘拐し、五千万円を身代金として要求することだった。弟分の正義、平太と共に老婆の誘拐に成功する。ところが百戦錬磨の老婆は、逆に誘拐犯たちに指示を出し、誘拐はただの誘拐ではないく、世界最大級の身代金、百億を要求する、大誘拐へと発展していく。その中で老婆の大きなやさしさに触れていく誘拐犯たちは、次第に心を開いていくことになる。こうして老婆が計画した大誘拐を捜査する警察、追うマスコミを巻き込み、前代未聞の事件へと発展していく。・映画おすすめ 感想
岡本喜八監督晩年の作品である。チンピラの五千万円の誘拐が、百億の大誘拐へ発展していく物語。主演の老婆を演じた北林谷栄の演技が物腰が柔らかく、素晴らしい主演であった。また樹木希林のコメディエンヌとしての演技も素晴らしい。緒形拳など豪華キャストで贈るドタバタ誘拐コメディ。面白い映画でした。監督 岡本喜八脚本 岡本喜八原作 天藤真『大誘拐』製作 岡本みね子田中義巳安藤甫出演者北林谷栄緒形拳風間トオル内田勝康西川弘志樹木希林 -
誰にでも訪れる可能性がある
「ツレがうつになりまして。」
評価:★4,3
・映画おすすめ 物語
幹夫はコンピュータのお問合せかかりとして、働いていた。妻はマンガ家をして、妻のために一日、働いていた。幹夫はこまめな性格で、出勤日のネクタイは決まったもの、弁当に入れるチーズも決まったものであった。そんな幹夫は背中の痛みや頭痛、眠れない症状に悩まされていた。それを心配した妻は幹夫に病院に行くよう勧め、結果、うつ病であることが発覚する。幹夫はそれを上司に報告するも、みんなうつ病みたいなものだ、と一蹴されてしまう。夫が日に日に疲弊していくのをみていた妻は、会社を辞めなければ離婚する、と説得するのだった。こうして二人三脚の闘病の日々が始まった。・映画おすすめ 感想
人は働きすぎると壊れる。壊れた心は元の形にものどらない。未だにうつ病をなまけととらえる人も少なくないだろう。しかしうつ病は脳の病気であり、しかも完治というのがない病気である。この映画には救いがある。妻がうつ病を理解して、夫を支えていることだ。速さ、合理的なことが求められる現代。もっとのんびり生きてもいいのではないだろうか。この映画はそれを教えてくれる。監督 佐々部清脚本 青島武原作 細川貂々「ツレがうつになりまして。」「その後のツレがうつになりまして。」「イグアナの嫁」製作 黒澤満木下直哉重村博文平城隆司福原英行久保忠佳出演者宮﨑あおい堺雅人吹越満津田寛治犬塚弘梅沢富美男田山涼成大杉漣余貴美子 -
メジャーリーグ初に黒人選手
「42 世界を変えた男」
評価:★4,5
・映画おすすめ 物語
第二次世界大戦後、勝利したアメリカはまた新たな戦いを内側で行っていた。黒人への差別である。トイレ、ホテル、飛行機。黒人は迫害を受け、バスには白人優先席が作られるほどだった。その中にあり、ドジャースのオーナーは白人しかいないメジャーリーグに黒人選手を起用することを決める。選手の名前はジャッキー・ロビンソン。しかしその道のりは人が想像する以上に険しいものだった。ドジャースより前に入団したチームの地元では、襲撃をにおわせる言葉を投げかけられ、ドジャースに入団してからは、チームメイトとの確執もあった。相手チームの監督から差別の言葉を投げかけられ、怒りを抑えるのに必死だった。頭部にデッドボールを受けたこともあった。それでも彼は野球を愛した。そして家族を愛した。・映画おすすめ 感想
事実に基づいた映画。今でも毎年、ジャッキー・ロビンソンが背負った42番を全野球選手がつけてプレイをする日があるほど、メジャーリーグでは当時、衝撃だったのだろう。何をするにも先駆者というのはつらいものである。それを黒人差別が一番厳しい時代に、白人の世界であるメジャーリーグに入団したのだから、映画以上につらいこともあったと思う。それでも彼がいなければ、今の開かれたメジャーリーグはきっとなかったであろうと考える。ジャッキー・ロビンソンを演じたチャドウィック・ボーズマンは、残念ながら他界した。しかしジャッキー・ロビンソンの精神を間違いなくこの映画で体現している。素晴らしい映画に出会えた。監督 ブライアン・ヘルゲランド脚本 ブライアン・ヘルゲランド製作 トーマス・タル製作総指揮 ジェイソン・クラークディック・クックジョン・ジャシュニ出演者チャドウィック・ボーズマンハリソン・フォード